大学生の自由帳

ペンギンパニックとエノキ工場の香り

名大祭でクレープを売る方法を考える

名大祭の模擬店では、出せるメニューが決まっている。

そしてメニューのラインナップに「クレープ」は存在しない。

 

正確には、存在していたが消えた。

 

そのきっかけとなったのが「毒クレープ事件」。

2008年の名大祭、クレープの模擬店が引き起こした集団食中毒事件である。

事後対応として翌2009年では模擬店の出店が禁止となり、それ以降もクレープの販売は規制され続けている。

 

事件から15年目となる去年も例に漏れず規制されていた。

恐らく今年もそうだろう。

 

……クレープ、そろそろいいんじゃないか?

 

そう思わずにはいられない。

 

もしかしたら、実行委員の中でもそんな声があるのかもしれない。

しかし、事件の被害者には名大の近隣住民もいるようで、販売再開により彼らからクレームをもらう可能性を恐れているのだと言われている。*1

 

クレープを出したい。

 

クレープを出して、実績を作りたい。名大祭にクレープの存在を蘇らせたい。

 

そのためには、実行委員の目を搔い潜る必要がある。

どんな方法ならクレープを売れるんだろう……。

 


方法その1「三店方式

 

クレープを直接売れば当然規約に抵触してしまう。

しかし、「皮を売る店→中身を売る店→巻く店」というようにクレープを作る行程を分解して販売する、クレープ三店方式*2によって

 

「はいいらっしゃいいらっしゃ~い。生地うっすら焼きはいかがですか~~?

あ、うっすら焼き1枚。はい、こちら200円です。

あれ???皆さんあちらに向かわれてますね~~~。なんででしょうね~~~。

あちらは生地で甘いもの巻き屋さんらしいですね~~~~~~。」

 

とすれば、規約を掻い潜りつつクレープを売れるのではないか。

 

しかし、ここで一つの問題が浮かび上がる。

 

皮を売った時点で、クレープを売ったことになるのではないか。

 

そう、クレープとは「甘いもの生地巻き」に限ったものではない。生地を焼き上げただけのプレーンな状態も世の中ではクレープとして流通している。

 

こういうの

クレープの本質は皮なのだ。

 

つまり三店方式の第一店、皮屋とは実質クレープ屋なので規制されてしまう可能性が高い。

 


方法その2「販売可能なメニューを工夫して使う」

 

このようにクレープを分解して販売する方法は難しい。

やっぱりクレープの販売は難しいのかな……

 

 

メニューリスト

 

名大祭模擬店で販売可能なメニューのみんな!?!?!?

 

そんなわけで、クレープそのものを販売するのではなく、他の商品を売っている体でクレープを売れないか考えよう。

 

エントリーNo.1 たこ焼き

たこの代わりにクリームを入れて、「あっ!いけな~~い!☆」と潰して提供する、ドジっ娘メイドのアクシデントたこ焼きを販売する。

クレープと見れなくもないはず。

 

たこ焼きを潰すパフォーマンスは”接待”にあたり、風営法に抵触するという恐れもある。

でもこれはドジっ娘メイドがたまたま居合わせたたこ焼きと自由アクシデントをしているという名目で通る気がする。

 

エントリーNo.2 カステラ焼き

カステラ焼き屋さんの隣に、「カステラ潰し屋さん」と「潰したやつに甘いもの乗っけて巻き屋さん」を開店する。三店方式との合わせ技だ。

 

これもカステラ生地ではあるがクレープと言えるだろう。

 

エントリーNo.3 フレンチドッグ

フレンチドッグとはほぼアメリカンドッグと同じで、ソーセージに衣をまとわせたものだ。

ふつうソーセージといえば肉の腸詰めだけど、生クリームを詰めたクリームソーセージを用意すれば……ここまで言えば後は分かるだろう。

 

やはりクレープらしきものが完成する。

 

 

 

…………しかし、この辺りで問題があることに気が付いた。

 

 

潰したたこ焼きやカステラ、アメリカンドッグもどきはクレープと言えないのではないか。

 

クレープの規制をよけてクレープを売ろうとすると、できたものがクレープではなくなってしまうというクレープジレンマが存在しているようだ。

 

このジレンマを回避するために、「クレープじゃないものを売りますよ?」と言う姿勢を取るのはあくまで申請の時だけにしよう。

申請の時だけは実行委員の目を欺いて、当日は堂々と作って売る。きっと実行委員が飛んできて販売停止になってしまうが、それまでに一個でも売れればいい。”名大祭でクレープが売れた”という実績さえ得られれば売り上げなんていらない。

 

エントリーNo.4 ドーナツ

薄~~い円盤状のドーナツを作って、穴の部分を引っ張って筒状になったところに中身を入れる。

イメージ図

 

それか、ドーナツは穴の部分が使えそう。

「ドーナツの中央には何もない」という事実は取り換えれば「ドーナツの中央には何があっても、無いものとして扱われる」ということになる。

 

つまり、こういうのを販売すれば

こういうの

クレープは存在しないものとして扱われるのではないか。

 

一応「調理を含む食品はメニューリストから1製品だけを選んで販売する」というルールがあるけど、このクレープドーナツは全体で一つのドーナツなので成立する。とはいえ、当日はきっと全力でNOと言われるだろう。

でも問題ない、一瞬でも売れればそれでいい。

 

もっと具体的に考えてみると、中に入れるクレープはドーナツの材料を使って作れそうだ。申請書にはドーナツの材料だけ書いてあると思ったら、なぜかクレープがくっついていることに実行委員はさぞ面食らうだろう。

 

とはいえ、ドーナツの材料に生クリームを書くとちょっと浮くかもしれない。

クレープの本質は皮と言ったけど、やっぱりクリームも欠かせないと思う。

 

また、生クリームを用意しようとすると、加熱をしない材料を使うことになる。

メニューリストをよ~く見るとそういう材料のいらないものばかりなので、もしかしたらNGをもらってしまうかもしれない。

 

どうにかして生クリームを堂々と使いたい。

そこで、このメニューが助けてくれる。

 

エントリーNo.5 たこせん&たません

このメニューは、万が一生クリームが材料としてダメだと言われた場合の反論に使う。

 

「生クリームは衛生的に不安があるので使用を認められません。」

 

「そこを何とか……既製品の生クリームをその場で開封して使用すれば大丈夫なんじゃないですか?」

 

「既製品でも加熱しない食品はダメです。」

 

「でもたこせん・たませんでは既製品のえびせんを加熱せずに使用しますよね?それと何が違うんですか?」

 

「……っ!?」

 

このようにして、既製品が加熱されずに提供されている例のひとつになってくれるはず。

 

ドーナツの穴の次は、論理の穴を使うってワケ。

 

間違っても「たこせんたませんに使うえびせんをクレープ生地に変更して……」などという陳腐な方法を使ってはいけない。

「あれ?これ、小麦粉って……たませんに使いますか?」と申請の際看過される未来が目に見えている。

 

そんな屁理屈はもはや平成の産物。令和は論理武装なのだ。

 

エントリーNo.6 未開封既製品

実は先ほど画像で見せたメニューは「調理を含む食品」の中で提供可能なものだった。

それとは別に未開封既製品の販売が認められていて、これは

一般に販売されていて、一切の調理をする必要なく未開封の状態で来場者に提供することのできる商品です。

と定義されている。

 

これはとんでもないことが書いてあって、要するに

クレープ

これを売ればいいということだ。

 

 

 

~完~

 

 

 

というのは、ちょっと乱暴すぎるかもしれない。

こんな中央突破がまかり通るなら確かにしてやった感はあるけど、普通に止められてしまう可能性もある。

しかもこれを買ってくれるお客さんが居るのかどうかも未知数すぎて、あまり頼りたくはない手法だ。やっぱり売り買いが成立してこそ”名大祭でクレープが販売された”といえるはずだ。

 

それに、別にそんなことをしなくても未開封既製品は有用そうだと思う。

 

例えば先ほど触れた生クリーム問題も、調理済みの皮と既製品のクリームを別売りすれば解決する。*3

 

何しろ既製品でさえあれば自由なので拡張性が高く、発想次第でこれまで紹介したどのメニューよりも力を発揮できる。

 

君も未開封既製品でオリジナルのクレープコンボを考えて友達に自慢しよう!

 


方法その3「逆に考える」

 

そろそろ逆に考えてみるのはどうだろうか。

かの故事成語、『先従子页流尼勾洲始(まずコペルニクスより始めよ)』でも語られているように、ブレイクスルーの第一歩はいつも思考の逆転なのだ。

 

余談はさておき、これまでのように規制の網をかいくぐろうとするのではなく、今の規制を書き換えさせてクレープを提供可能にすればよいのではないか。

 

ここで、記事の冒頭を思い出してほしい。

事件の被害者には名大の近隣住民もいるようで、販売再開により彼らからクレームをもらう可能性を恐れているのだと言われている。

 

そう。名大祭でクレープが提供できない本質的な理由は衛生上の問題ではなく、クレームを恐れているからだと思われる。

ということは……

 

名大祭でクレープが提供されていないことについてクレームを入れれば良い。

 

クレームが怖くて仕方がない実行委員*4にとっては、将来クレープを売って入るかもしれないクレームよりも今クレープを売らずに入っているクレームの方が怖いはずだ。

 

そう。クレープが入ってない名大祭にクレームが入ってクレープが入った名大祭にはまだクレームが入っていないのだから、クレームのついたクレープをクレームに従ってクレープを売ればクレープでクレームを防げてクレームのせいでクレープの提供ができてクレープが

 

 

 

 

毒クレーム事件である。

 

 


 

そんなこんなで、名大でクレープを販売するためにはクレープドーナツを売るか、毒クレーム事件を起こせばいいと思う。

どうしてもクレープを売りたい人たちは是非参考にしてほしい。

 

逆に実行委員の方々はクレープを売るとしたらこういった方法が考えられるので、対策の参考になるかもしれない。

 

そしてそんな模擬店出店団体の応募期間は2月5日(月)~2月18日(日)だ!!!

事前ガイダンスへの出席義務があるから要注意だぞ!!!

 

来たる出店申請に備えよ!!!!!!詳しくは以下URLまで!!!!!!

meidaisai.com

*1:実際、名大祭開催のおりに毎度断りを入れるビラを配っているらしい。

*2:パチンコ店が出玉を直接換金せず、特殊景品を介し問屋に換金させて風営法をクリアするアレにちなんで

*3:クレープにちょうどいい量の個包装生クリームが存在するかは別として

*4:本当に恐れているのは名大当局で、実行委員に干渉しているという可能性も一応無くはない。