大学生の自由帳

ペンギンパニックとエノキ工場の香り

愛知の真ん中に異世界があった

ある休日、僕は釣りに行った。

 

碧南の堤防が釣りやすいと聞いたので、行ってみたかったのだ。

 

噂通りバンバン釣れ、2時間もするとクーラーボックスは一杯になった。

 

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楽しいはずなのに表情が死んでいる

 

魚を素手で取っていたので、終わった頃には、手が鱗と謎のコラーゲンでコーティングされており、さながらパック状態であった。

きっと、お肌が20歳は若返る。

 

だか、いかんせん、魚臭くて嫌だったので、近くに銭湯はないかと探したところ、「げんきの郷」という施設に温泉があるとのことだったので寄ることにした。

 

野山を走ること2,30分。

カーナビが

「目的地周辺です。ガイドを終了します。」

と行ってきた。

 

だが、それらしき建物は見えない。

森と畑だけだ。

 

 

カーナビに記された大体の位置を頼りに森の脇を走ること10分弱、目的地に着いた。

 

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道の駅ぐらいの規模

 

こんな森奥というのに、駐車場は一杯でジャスコにでも来たんじゃないかと錯覚する。

 

さっきまで5分に一台ぐらいしか対向車とすれ違わなかったのに、なんだこの人だかりは。

 

 

 

車を降りるとすぐに、沖縄のお土産屋とかでよく流れてる「島唄」が聞こえてきた。

 

音のする方に惹かれていくと、そこには小さなステージの上で3人のパフォーマー島唄ライブをしており、その周りに、老若男女が集まっていた。

「エンヤァ、サッサ!」

掛け声が遠くまで響いている。

 

愛知の田舎町に恐ろしく合ってない気がするのだが、見ている人はみんな楽しそうに見入って、踊ってる爺さんもいた。

 

一体として完成していた。

 

 

僕はヤバイ所に迷い込んでしまったのかもしれない。

 

 

あたりを見ると、比較的新しそうな建物があったので行ってみた。

 

そこは中央に水路があって子供が遊べるようになっていた。

 

そして、子供の量がまた以上であった。

密度にして、1人/㎡ もあろうか。

 

ものすごく賑やかで、少子化や過疎なんて嘘だと思う。フェイクニュースだ。

 

一体、この町はどうなっているのだ。

どこにこれだけの人を惹きつける要素があるのか。

 

 

魚市場にも大勢の人がいるし、中央の時計台がある広場には移動式動物園がいた。

 

 

これ以上見ていると精神がおかしくなりそうだし、魚臭いのでとりあえず温泉に行った。

 

温泉だけは無事であってくれ。

 

 

 

 

 

 

その願いは届かなかった。

 

 

脱衣所に行くと、監視カメラがあった。

 

注意書きには、

 

防犯の為監視カメラを設置してます。

(男湯のみ)

 

と書かれていた。

 

 

そこまでして、監視カメラいるのか。

さっきまでは、平和な異世界と思っていたけど、治安が悪いのかもしれない。

僕は何の特殊能力も持たずにきてしまったので、襲われたらイチコロだ。

 

 

さらに、ここの温泉は一週間で男女の浴場が入れ替わるため、両方に監視カメラが付いていることになる。

よく、許したな、その設計。

亜人でもいるかのような気の使いようだ。

 

 

 

 

温泉のフロアマップには、運動浴があると書いてあった。

てっきり、輪状になっていて歩くのかと思い浴槽に向かった。

 

 

 

 

 

バイクトレーニングのマシンがそのまま温泉の中に沈んでいた。

 

 

何事も無いように、

「アクアバイクⅡ」

と説明書きがされていて、戸惑いながらも僕も試して見た。

 

 

バイクだ。

 

 

水圧で負荷がかかり、なかなかキツイ。

 

ふと振り向くと、おじさんが僕の後ろで待っていたので変わった。

 

僕がスッパで座ったサドルにおじさんもスッパで座った。

当然と言えば当然だが、僕の前にも誰かがスッパで座った訳だ。

普通の湯船と思えば何の不思議もないが、なんだか気になったので、一度体を洗った。

 

次は炭酸泉にでも入ろうとしたら、さっきのおじさんが汗だっくだくでバイクを漕いでいるのが見えた。

あれだけ鍛えないとこの世界で生きて行けないのだろう。

もう、二度とあの浴槽には入るまい。

 

 

 

 

散々な事を言ってきたが、温泉の質はめちゃくちゃ良かった。

魚コラーゲンパックなんてしなくていい。

久しぶりにこんないい湯質に出会った。

700円の入湯料にしては、抜群のコスパである。

 

 

 

一応、所在地を載せておくが、もう二度とあそこにはたどり着けないかもしれない。

あのお湯だけはもう一度入りたいなぁ。

 

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唯一の行った証拠