生まれた時から我が家の前には水路があった。
だが、コンクリで塞がれているタイプだから、水面を見ることは叶わない。
あれを水路と言われ育ち、水の音が聞こえるから水路と認識していたが、もしかしたら、あの下にはラジカセがあって水の音を出してるだけかもしれない。
あの水路はいったいどこに続くのか、出来たら水面が見てみたい。
外も涼しくなってきたし、探しに行こう。
近くラボでソフトボール大会があると聞いたので体力をつけるためにも走っていく。
基本ルールはこの3つ。
- 水路が別れたらなるべく家から離れる方に進む。
- 立ち入り禁止になった場合は別れ道まで戻る。
- コンクリに覆われてない水路になったらクリアー
いざ、走らん。
(その都度写真を撮りながら文を書いていきます。)
5分も経たないうちに全く見覚えのない場所にでた。
そういえば、こっちの方には友達もいないし、特に何もないので行ったことがなかった。
はじめての別れ道。左に進む。
もはや橋の意味はないが橋がある。
まだ最新まで水路だった名残なのか、早くお家に帰れそうだ。
おおっ、柵だ!川があるのか!
なんてことはなかった。
とうとう用水路しかなくなった。
そして、匂いがきつい。牧場みたいな匂いがする。
目を閉じるとまぶたの裏には牛が散歩してる。
ヒップドロップしたら何か起動しそうなマンホールがあった。
ちゃんと用水路上に繋がる道が出来ている。
他にも走る人がいるのかなぁ…。
お尻と足がビリビリ痺れて痒くなってきた。
日頃の行かないところに血液が行っているのだろう。辛い。
大きな道路にぶつかってしまった。
だが、隙間から見る水路に水っぽい煌めきが見える。
うーん、微妙。
ちょっと行けば回り込めそうなので、行ってみる。
トンネルがあるようだ。
地図通り進んだら、恐ろしく曲がりながら降りていくトンネルだった。
おい、さっきの地図と話が違う。まっすぐではなかったのか。
反対から見たら水面が見えた。
でも、国道の真下だからこれはノーカン。だってオープン用水路でないもの。
反対にはまだコンクリ水路が続いている。
まったく知らない学校にでた。
ブシャァァァアアと飛んでる小さな虫が多い。
鳥にはご馳走の山かもしれないが、あいにく私は人間だから虫は虫である。
気持ち悪い。
工事中だった。
この水路は宮田用水と言うのか…。
気がつくと水路は立派になっていた。
走りやすくて嬉しい反面、当分水面は見えないだろう。
左手にはまったく知らない中学校があった。
財布を忘れたので、水も買えなければ果汁グミも買えない。
家までの辛抱だ。
1時間ちょっと経った。住宅街に入り、水路の兆しはない。
そういえば、この水路は宮田用水といったなぁ…。
気にしなければ一生見なかったであろうホームページ。
えっ……
調べたら、ここから水面が見えるまで1時間半ぐらいかかるそうだ。
しかもどこで見えるかと言うと木曽川のすぐ脇。
なにそれ、もう川じゃん。
違うじゃん。
見たいのはオープンな用水路なのに…。
昔はこんな感じに遊んでいたらしい。
汚そうだから入りたくはないが見たかった。
さっ、日も沈むから帰ろうか…。
帰り道、もう用水路が見たくなくて、行きとは違う道で帰っていったらたくさんオープンな用水路が見えた。
なんなら家の周りにもたくさんあった。
私が追った水路だけ本線に続いていて犬山までコンクリで埋められていたようだ。
もう二度としない、こんな遊び。