大学生の自由帳

ペンギンパニックとエノキ工場の香り

月刊あいうえお作文2024年1月号


我々大学生の自由研究あいうえお作文グループでは、ランダムに決めたお題であいうえお作文を作り、発表する会を行っています。

 

ここでは発表された作文の中から、優秀作および月間最優秀作「ミルクケーキ賞*1」を公開していきたいと思います。

 


月間最優秀作「ミルクケーキ賞」

 

ミルクケーキ賞に選ばれたのは……

 

お題「黒焦げ」

作者:吉田

 



【講評】

どうしてか良作が多く生まれ激戦となったお題「黒焦げ」を勝ち抜いた作文です。
最も選定メンバーを頷かせたポイントは、趣ある情景を一途に描写した作文である点であり、そのような作文はこれまでありそうで意外とありませんでした。また、そのような描写が一文で完結しているところ、しかもその描写も視点を徐々に寄せながらスライドしていき、最終的に体言止めで終わるところもお洒落で巧みです。

また、ただ美景が表現されているというだけではなく、象徴的なモチーフから構成される空間には意味的な奥行きも認められます。例えば、作品の主体としてサイバーパンク世界のレジスタンスが暗に示されていますが、そこからは独裁体制に至るまでの戦火を連想できます。そして戦火が「凍りかけの酸性雨」で消えて久しいことも同様に連想でき、「黒焦げ」の跡が残っている様子が浮かびます。このように「黒焦げ」とのシナジーを感じさせつつも決して明け透けではない、巧妙にお題との距離感を保った作文となっています。

 

優秀作

 
お題「しめなわ」

該当作なし。

 

お題「味噌カツ

作者:藤田

み:味蕾を焼き尽くす雷

そ:ソルビトール

か:カプサイシン

つ:痛天覚をぶん殴る食い倒れ左アッパー

 

お題「黒焦げ」

作者:藤田

く:九段下のダフ屋どもを魂まで焼き尽くす

ろ:炉

こ:黒煙に巻かれ強ばる拳の中で燃え尽きる

げ:外道の道楽への片道切符

 

作者:二ツ島

く:燻ぶった火は地を這いついに

ろ:楼門破って夷狄御殿へ突入

こ:恒久に思われた植民地時代が

げ:ゲリラ攘夷に沈む

 

以上ミルクケーキ賞、優秀作でした。

選んだひと:二ツ島, 藤田. ゆお

 


 

来月号もお楽しみに。

 

*1:一番最初に行ったあいうえお作文研究会に持ち込まれたお菓子にちなんで