大学生の自由帳

ペンギンパニックとエノキ工場の香り

「やれたかもコレクション」審査会 @ 2023.02.18

【もくじ】

 

あの日、たった一言を言えていれば――。

あの時、あちらを選択していれば――。

あの場所で、あんなことさえしなければ――。

やれていたかもしれない。

きっと、やれていたのではないか? 

 

救いを求めて日夜さまよう、無数の「やれたかも」。

時を過ごし夜を超え、なお忘れられぬ現世の夢。

そんな青春の残滓に審判を下すため、立ち上がる者たちの姿があった――。


神童貞夫
:皆さんお集りのようですので、さっそく審査を始めたいと思います。

トイドラ:よろしくお願いします、神童モデレーター。

ぴょん子:よろしくお願いします。

ナトリウム榊:よろしくお願いします。

神童貞夫:じゃあさっそく1人目、27歳エンジニア男性「名駅クリスマス」さんのエピソードです。

 

Episode 1: 27歳 エンジニア 男性 名駅クリスマス さん

 飲み会の帰りにたまたま女性と二人になって、その人に「明日って予定あるんですか?」と聞かれた。

 

神童貞夫:以上です。

一同:…………。

神童貞夫:…………。

トイドラ:これはね、記念すべき「やれたかもコレクション」1本目の投稿ですよ。

神童貞夫:勇気を出して1本目、送ってくれたわけですからね。

トイドラ:しかし……悩ましいな。

神童貞夫:皆さん判定を。

 

- JUDGEMENT - 

「やれたとは言えない」

 

神童貞夫:これは全会一致で。

ぴょん子:wwww

トイドラ:いや、やれたとは言えないだろ普通に。明日の予定を聞かれただけでは?

ナトリウム榊:間違いないww

トイドラ:でも勇気を出して応募してくれてうれしいです。

神童貞夫:ちなみに、僕も「やれたとは言えない」と判定していて――

ぴょん子:モデレーターも判定するんだww

神童貞夫:読み取れる情報は全て読み取って判定しました。

トイドラ:読み取れる情報あるか??

神童貞夫:飲み会の帰りということは恐らく金曜・土曜の会社帰り。たまたま女性と一緒になったということは帰る方向が一緒だったと予想できるんですけど、「たまたま一緒になった」っていうのはどう考えても雰囲気が気まずいじゃないですか。話題に困るんですよ。

ぴょん子:めちゃくちゃ分析してるな。

トイドラ:こいつをモデレーターにして正解だったかも知れない。

神童貞夫:で、女性側としては「休日何してましたか?」的なノリで当たり障りのない会話をしたんですよ。「明日のご予定は?」ってね。

トイドラ:なるほど! 天気の話をするのと一緒だ。

ナトリウム榊:社交辞令ですね。

神童貞夫:でも俺は分かるよ、名駅クリスマスさんの気持ち――。

トイドラ:お前もそっち側の人間だったか。

ぴょん子:いや~私はこのエピソード好きですよ。投稿者名が「名駅クリスマス」ですけど、これってあたかも女性からクリスマスの予定を聞かれた、みたいに思わせようとしてるじゃないですか。でも本当は、クリスマスでも何でもない時期のエピソードかも知れない。

トイドラ:私たちが「やれた」と言うように誘導している、と……?

ぴょん子:そういうことです。

トイドラ:というか、この女性の問いに名駅クリスマスさんはなんて答えたんでしょうか。明日の予定はあったのかな?

神童貞夫:それを聞くのは野暮だよ。

ナトリウム榊:たまたま女性と2人になって「やれたかも?」と思って、それで書ける文量がこれだけっていうのは……けっきょく望み薄なんじゃないでしょうか。

トイドラ:まあ…………「やれたかも」は自由なものですからね。「やれたかも」だったんでしょう、彼の中では。

一同:…………。

 

神童貞夫:それでは、2人目行きますか。次のエピソードはこちらです。

 

Episode 2: 26歳 社会人 男性 SDGs さん

 数年前にある外国人女性と居酒屋で会ったんですよね。白人の方で、お互い別グループで飲みに来てたんですけど、席が近かったのもあって一緒に飲むようになって、そのまま2次会合同でやったりなんかして。

 んで、まあかなり酔ってるんですよ全員。3次会カラオケなんですけど部屋で爆睡してる人が多数。そんな中トイレに行こって思って自分1人で部屋出たら、すぐ後に例の白人女性も部屋出てきたんですよね。「(自分の名前)!ドコイクの?」「お手洗いに」「ワタシもっと(自分の名前)と話したい、、、」

 自分はこれはチャンスと思って、そのまま2人で荷物持って店出て、近くのBARに行きまして、そこで話した内容がまさかの「脱二酸化炭素生活」「化石燃料依存問題」「国連でスピーチした自慢」「大西洋ヨットで横断苦労話」
これってグレタかもですか?

 

ナトリウム榊:この話マジで面白いな。

トイドラ:まず言いたいんですが、これは「やれたかも」じゃなくて「グレタかも」エピソードですよね??

神童貞夫:そうですね。

トイドラ:やれたかどうかの前にグレタかどうか判定する必要があるのでは?

神童貞夫:いや…………むしろグレタかどうか判定して終わりでいいでしょ。

トイドラ:????

ぴょん子:やれた可能性も見出しましょうよ。

ナトリウム榊:とりあえずやれたかどうか判定しましょう。

 

- JUDGEMENT - 

「やれた」

 

神童貞夫:「やれた」多数ということで、この話はやれたと認定します。

ぴょん子:おお~~~。

トイドラ:おめでとうございます。

ナトリウム榊:これは「グレタかも」だし「やれたかも」でしょう。

神童貞夫:じゃあ、トイドラさんから意見を聞いていきましょうか。

トイドラ:そうですね……ぴょん子さんが「やれたとは言えない」に挙げた気持ちも分かるんですよ。ただ、僕が注目したのは1点だけです。前半部分の何とな~く雰囲気よさげな部分は全部まやかし。大陸出身の白人女性なら当然持っている大らかさが、村社会の日本人にはドキッとする仕草だっただけです。

ぴょん子:言うねえ。

トイドラ:ただ僕が注目したいのはね。「大西洋ヨットで横断苦労話」、これですよ。

一同:…………。

トイドラ:大西洋をヨットで航海する長い旅の間、船の男全員をね。もう食ってますよ。

一同:…………。

トイドラ:僕には分かるんですよ。

神童貞夫:こいつもなかなかクセ強いな。

トイドラ:だからね、途中2人で仲良さそうな描写がありましたけど、こんなの関係なくて、例えば会ったその日にホテルに誘ってもやれたと思います。

ぴょん子:そういう意味なんだww

神童貞夫:ぴょん子さんが「やれたとは言えない」に挙げた根拠は?

ぴょん子:…………普通に、内容的にやれた要素を見いだせなかったというか……。大西洋ヨットの話から、もうちょっと何か広がれば良かったんですけど。

トイドラ:うん、まあ分かりますよ。たぶん脱炭素的な話で男の方が先に冷めてしまったと思うんですけど……男の方にそれを上回るリビドーがあれば、それはもう易々と次のステージに辿り着いていたでしょう。

神童貞夫:ちなみに、グレタとは思いますか?

トイドラ:いや、グレタ・トゥーンベリはこんなこと言わないだろ。

ナトリウム榊:そうかな?

トイドラ:「ワタシもっと〇〇と話したい、、、」とか言ってほしくないよ。グレタ・トゥーンベリは「How dare!?」しか言わないから。

一同:(????)

神童貞夫:ちなみに僕はグレタと思っています。

一同:(????)

神童貞夫:やれたかどうかの判定はしていません。

トイドラ:してほしかったな。

神童貞夫:まずグレタは日本で飲んでいると仮定して――

トイドラ:「グレタは日本で飲んでいる」――??

神童貞夫:………………いや、待て。これグレタじゃないわ。

ぴょん子:どういうこと?ww

神童貞夫:数年前グレタ・トゥーンベリは未成年だから飲めませんでした。

トイドラ:そういうこと!? 本気でグレタ・トゥーンベリその人だと仮定してたのかよ。

ナトリウム榊:wwww

神童貞夫:グレタさんね、2003年1月3日誕生なんで。

トイドラ:グレタ・トゥーンベリを最推しにしてる人じゃん。

神童貞夫:モデレーターとして資料はちゃんと準備しました。

トイドラ:「グレタかも」にそこまで力入れなくていいよ。

 

神童貞夫:じゃあ次、3人目。次のエピソードはこちらです。

 

Episode 3: 22歳 学生 男性 いしだたみ博士 さん

 女友達と飲んで3軒くらい行ったあとに缶ビールを飲みながら道路を歩いていて、駅前でずっとしゃべってた日。

 

一同:…………。

神童貞夫:とりあえず、判定をお願いします。

 

- JUDGEMENT - 

トイドラ:……難しいな~。う~~~ん。

「やれた」

 

神童貞夫:「やれた」多数により、この話はやれたと認定します。

ぴょん子:意外とやれるなww

ナトリウム榊:え、2人とも「やれた」?

トイドラ:意見が割れましたね。

神童貞夫:ぴょん子さんからどうぞ。

ぴょん子:これはけっこう可能性あると思いますけどね。

トイドラ:すごいな、この文量でそれを読み取るんだ。

ぴょん子:流れが良い感じ、というか。3軒飲んだ後まだ缶ビールを買って駅前でだべっている。駅前って帰ろうと思えばいつでも帰れますからね。女の子側もまだ一緒にいたかったんじゃないでしょうか。

神童貞夫:いい読みですね。トイドラさんは?

トイドラ:僕はそこまで深く考えずにセンスで選んじゃいましたね。このエピソード、体言止めなんですよ。「しゃべってた日」で文章が終わってる。

ナトリウム榊:!?

トイドラ:エピソードなのに体言止めになっている、という1点から「やれた」と判断しました。

神童貞夫:…………根拠不明。

トイドラ:体言止めでエピソードを書ける人間はやれますよ。

一同:wwww

神童貞夫:じゃあ「やれたとは言えない」に挙げたナトリウムさん。

ナトリウム榊:う~ん。…………いや、やれたとは言えないんじゃないですか?

一同:…………。

ナトリウム榊:駅前でだべってた、と男性は書いてるけど、女の子目線ではずっと「早く帰りたいな~」と思ってたんじゃないでしょうか。

ぴょん子:あ~。

トイドラ:3軒回って缶ビール買って一緒に歩いてだべった上で「早く帰りたいな~」と思われてたら怖すぎる。

ぴょん子:2行くらいの文量しかないのに深いなあ。

神童貞夫:情報量が少ないからこそ妄想がはかどる。

ナトリウム榊:3軒回って缶ビール飲みながら歩いてたんだったら、女の子からも何かしらの素振りを見せられるわけじゃないですか。なのにけっきょく駅前まで来ちゃって、終電が来たらすぐ乗れる感じになってる時点で、もう帰ろっかなって雰囲気だったんじゃないですか?

ぴょん子:……いやー、女の子のタイプによると思いますけどね? そういうアピールできるタイプか、そうじゃないか。

トイドラ:色のあるエピソードだな、これは。

神童貞夫:――じゃあそろそろ神童チェック、行きますか。

トイドラ:神童くんグイグイ来るね。

ぴょん子:wwww

神童貞夫:僕は「やれたとは言えない」と判断しました。けっきょく駅前に着くまでアクションを起こせてないわけですけど、3軒行って缶ビール飲んだらさすがに飲みすぎではないかと。

トイドラ:あ、立たない?

一同:(!?!?)

神童貞夫:そういうことじゃなくて、ここまで飲んじゃったらもう楽しくお喋りする雰囲気になっちゃってると思うんですよね。

ぴょん子:しゃべるのが楽しかったのか。

神童貞夫:やれた可能性があるとすれば、駅前でずっとしゃべってるのを女の子が「終電逃しチャンス」だと思ってるかどうか、かな。最後の言い訳がほしかった……

トイドラ:駅前で話してて終電逃すやつ、ヤバくないか??

神童貞夫:盛り上がり次第かな、と。

ぴょん子:やるやらないって話になると、女子って自分のせいにされたくないですから。相手に責任を負ってほしくてズルズルいっちゃった可能性ありますけどね。

トイドラ:「女の心、男知らず」かな。逆も然りだけど。

 

神童貞夫:では4人目。長いエピソードですが読み上げます。

 

Episode 4: ??歳 大学生 男性 辛いものには福がある さん

 2年くらい前、当時僕はとあるチェーン居酒屋でアルバイトをしていたのですが、そのバイト先で一緒になったm.k.ちゃんとのエピソードです。

 事の発端は、とある平日の、なんてことない勤務時間中でした。その日は雨が降っていたこともあり、お客さんは少なかったと記憶しています。出勤していたのは、僕と、m.k.ちゃんと、店長の3人だけでした。お客さんもいないので、僕とm.k.ちゃんはカウンター付近で、少し距離を置いてつっ立っていました。すると突然m.k.ちゃんが、
「僕くんって、彼女いたっけ?」
と話しかけてきました。

神童貞夫:……続き読みますね。

トイドラ:どうぞ。

 話を一旦止めてここで説明しておきたいのが、僕とm.k.ちゃんとの当時の関係性です。僕たちはその時まだ、ほとんど話した事がありませんでした。なので、恋人のいるいないどころか、好きな食べ物とか、住んでいる場所すら知りませんでした。そんなm.k.ちゃんとの、いつぶりかもわからない会話だと思って、この後の話を聞いてください。

 話を戻します。m.k.ちゃんは、先のように僕に話しかけてきました。僕はその時、タイミングよく彼女と別れたばかり(話すと長いのでここは割愛します)だったので、
「最近別れたんだよね..」
と悲しげに答えてみました。するとm.k.ちゃんは、
「あ、そうなんだ。私も実は最近彼氏と別れてさー..」
と、僕に負けない哀愁を醸し出してそう言ってきました。
 それから数分、店長が裏からタバコ臭くなって帰ってくるまで、お互いにつらつら失恋トークをしていました。僕の「もうしばらく恋人はいらないと思っている」という当時の考え方に、彼女は明確に共感していました。

 その後チラホラお客さんは来ましたが、ダラダラと時間は流れ、僕の退勤の時間がきました。その日、僕は彼女よりも1時間早くあがる予定になっていました。が、客が少なかったっためか、あるいは他の理由なのか、店長命令でm.k.ちゃんも僕と同じ時間にあがることになりました。

 一緒に帰り支度をしながら、僕たちは少し会話をしました。
「今日、暇?」
「暇だけど、なんで?」
「暇なら、うちくる?泊まってったらいいよ」
「まあ、帰ってもやることないし、行こうかな」
「おっけー」
さて、僕がm.k.ちゃんの家に宿泊することが、ものの数秒で決定してしまいました。

 m.k.ちゃんの家はバイト先からかなり近かった(これもその時知りました)ため、歩いて行くことになりました。
僕は歩いているとき、いくつかのことを考えました。中でも一番考えたのは、
「ゴム持ってないなあ」
です。僕の頭の中のゴム持ってないなあは現れては消え、消えては現れ、その様はまるでスマブラXマニューラのようでした。

 ただ、それと同じくらい僕の頭の中にあったのは、「もうしばらく恋人はいらない」という彼女の気持ちのことです。これが本当であれば、僕を恋人にしたいということはない、つまり、恋愛感情はないということになります。ではなぜ僕を家に誘ったのか?思いついたいくつかの理由のうち選ばれたのは
「あ、僕と話すのを面白いと思ってくれたからか」
でした。この結論が出たあたりから、ゴム持ってないなあは頭から消えていきました。

 家につくとm.k.ちゃんはさっさと風呂に入りました。僕も風呂を借りて入りました。

「布団とかある?」

と僕が聞くと、

「いや、ないのよね。同じベッドで寝るのでもいいよね?」

と返ってきました。僕が出したばかりの結論は崩れそうになりました。

(え、同じベッドで寝るの?えどういうこと?えどういうこと???え、やっぱりそういうこと?えでも全然そんな感じないじゃん...えなに、なにが起きてるの???)

トイドラ:「え」が多すぎるだろ。落ち着いてほしい。

僕は動揺を隠して

「全然いいよ」

と答えました。

 僕たちは同じベッドに入って、ネットフリックスを少し見ました。僕が冗談を言えば、彼女は結構な確率で笑ってくれました。

ネットフリックスで何かを何本か見た後、m.k.ちゃんは……

ぴょん子:何を何本見たんだww

「そろそろ寝ようか」

と言いました。僕が頷くとm.k.ちゃんは電気を消しました。

 ここから僕の葛藤は始まりました。

(僕の出した結論は正しいように思う。さっきから、m.k.ちゃんから特に性的なアクションはない。でも男を家にあげて、同じベッドに入るって、もうそういうことだよね?それとも何、こういうのを割と誰にでもするタイプなの?俺の勘違いなの?というかそもそも、僕は恋人以外の人との自然なSEXへの入り方を知らないぞ。キスからするのか?まあそれはそうか、流石に。えでもm.k.ちゃんあっち向いてるじゃん...やっぱその気ないってこと?まあそうだよね.........)

突然m.k.ちゃんは、結構小さい声で言いました。

「あっち向いてたら寂しい?」

(は????????????????何?なんて?何だって?あんだって??)

一同:wwwwww

 訳がわかりませんでしたが、僕はとりあえず頷いてみました。するとm.k.ちゃんは翻ってこちらを向きました。

顔が目の前にあります。僕がちょっと顔を動かせばキスができます。m.k.ちゃんは目を瞑っています。かなり穿った見方をすれば、キスを待っている顔とすら解釈できます。その上、m.k.ちゃんからは、女の子特有のいい匂いがします。これはもういくよな、いっていいよな、母ちゃんごめん―――。

 しかし結局、僕はキスをしませんでした。できませんでした。

というのも、m.k.ちゃんは「恋人がいらない」と言っていた訳で、これは言い換えると、「恋愛とか男女の関係とか、そういうもの自体に嫌気が差している」とも考えられるわけです。そうだったとしたら、僕が突然キスなんかしたらどうなりますか?

『こいつ、さっきの私の話を聞いていなかったのか?こういうのにうんざりしてるんだよこっちは。何もわかってない、嫌い』

と、こう思われても仕方がないわけです。僕はm.k.ちゃんに嫌われるのは嫌でした。そもそも、嫌われたらこの後どういう空気になるんだよ...という懸念もありました。

そういうわけで、結局僕は何もできず、何も知らない睡魔に襲われ、呑気に朝まで眠りこけました。

審査員の皆様、僕はあの日、"やれた"のでしょうか?審査を、そして必要ならば審判をお願いします。

ちなみにm.k.ちゃんは美容系の学校に行っていて、容姿はかなり良かったです。

トイドラ:長いな!

神童貞夫:さあ、審判を。

 

- JUDGEMENT - 

「やれたとは言えない」

 

神童貞夫:おお…………。

トイドラ:これ一致しちゃうんだww

ぴょん子:こんなに気合入れて長文書いてくれたのにwwww

神童貞夫:言いたいことたくさんありそうな顔ですね。じゃあ、まずはぴょん子さんから。

ぴょん子:この人は結局やりたかったんですかね? それとも付き合いたかったのか? そこがあやふやだと思いました。女の子側はフツーに彼氏と別れた後で寂しかっただけなんじゃないかなwwww

トイドラ:そう。なんでやったら付き合うことになると思ってるんだ。別に付き合わなくてもゴムがなくてもSEXはできるだろ、と。

ぴょん子:wwww

トイドラ:「相手から性的なアプローチはなかった」って書いてありますけど、そんなわけなくないですか?? とつぜん恋愛トークを持ち掛けて、家に誘って、風呂に入れて、同じ布団にも入って、「あっちむいてたら寂しい?」と聞いて、あまつさえ目も瞑った。これが性的なアプローチじゃなかったら、何が性的なアプローチなんだよとwwww

ナトリウム榊:マジでそう思うww

神童貞夫:直接言われないと分かんねーんだよ!(怒)

ぴょん子:状況としてはやれてるけど、もう……あなたはやれないです、みたいな。

ナトリウム榊:wwww

トイドラ:こんなにクソビッチな女の子を前にして、同衾してもやれないのであれば、もう一生やれないでしょう。

ぴょん子:辛辣すぎるww

トイドラ:心を入れ替えていただきたいと思います。

ぴょん子:まだ大学生なら成長の余地はある。

トイドラ:けっきょく女の子にリードされて、流されて流されて、自分からは何もしない…………正直言って残念です。

神童貞夫:だから彼女と別れるんだぞ、と。

ぴょん子:そこまで抉らなくても(泣)

トイドラ:「ここから僕の葛藤は始まりました」以降の文章が全く的を得ていないのも気になる。「こういうのを割と誰にでもするタイプなの?」……そうです、誰にでもするタイプなんですよ。「キスから入るのか?」 違うんですよ、普通にSEXから入ればいいんです。ビッチなんだから。僕はそう思いました。

神童貞夫:では最後に、ナトリウムさん。やれたとは言えない根拠を。

ナトリウム榊:まあだいたい同じです。女の子というより投稿者さんの方に問題がありますね。

トイドラ:全会一致でwwww

ナトリウム榊:性欲が強い割にいくじなしすぎる。

ぴょん子:いいまとめだな。

神童貞夫:僕の意見もほぼ同じなんですが、この人じゃなければやれただろうという意味で、僕は「やれた」と判定しました。

トイドラ:環境は整いすぎてるくらい整ってるからね。

神童貞夫:そもそも「僕くんって彼女いたっけ?」と聞かれた段階で、女の子からすれば自分の失恋話まで持っていくことが確定してるんですよ。

トイドラ:そうだわ。この段階で「今夜はあなたを抱きますよ」っていう意思表示だよね。

神童貞夫:そう。なのに投稿者さんは、自分の彼女と別れた話をつらつら話した上に「もう恋人とか要らない」まで言っちゃうっていうね。

ぴょん子:本当だ。

トイドラ:なんかこそばゆい気持ちになりますね。

神童貞夫:もうちょっと勇気を出してもいいんじゃないかな。でも俺は……俺は彼がやれたと信じる。

トイドラ:さすが神童貞夫だ。

 

神童貞夫:では次、5人目も長めのエピソードです。23歳学生男性「異世界転生モノ読んでる奴は全員こどおじ」さん。

一同:wwww

トイドラ:ここの段階ではかなり同意見ですけどね。

 

Episode 5: 23歳 学生 男性 異世界転生モノ読んでる奴は全員こどおじ さん

 大学2年の夏の話です。
 僕には中学の終わりからLINEで頻繁にやり取りをする仲の良いYさんという友人が居ました。Yさんとは中学を境に高校・大学は違いましたが、お互いの近況や恋愛の相談など何でも話すことが出来ました。

 そんな僕とYさんですが、ある時僕がInstagramで京都の写真と共に「京都に行きたい」と投稿をした事がありました。その投稿に対して、Yさんから「私も行きたいな、京都」というLINE。

 僕は童貞でしたが、女子のこういう会話に踊らされて本気にしてはいけない事を知っていました。止まらない胸の高まりをなんとか抑え込み、大学入試を最後に縮小を続ける脳から弾き出された精一杯の社交辞令を毅然とした態度で返します。

「良かったら一緒に行く?(笑)」

言ってしまいました。もう後には戻れません。この返事一つで僕とYさんとの数年の関係にピリオドが打たれることになります。返事は案外直ぐに帰ってきました。是非行きたい、という内容のメッセージと共に日程が送られてきました。僕は胸を撫で下ろしました。

 そんなこんなで京都行きが決まると、次は日帰りか泊まりかというオプションを決めることになりました。僕は当然日帰りだと思い聞いてみると、「どちらでも良い」との返事が。こんな時、童貞が取る選択肢は一つしかありません。ウッキウキで旅館を一部屋取りました。僕の脳内は童貞卒業の祝賀会の準備で大忙しです。

 ここまで「やれるやん!」までの段取りが怖いくらい順調に進んでいる訳ですが、僕はジェントルマンなのでYさんに対して断る余地、つまり逃げ道を必ず与えるようにしていました。日帰りor泊まり、別室or同室など、全てシッカリと聞いた上での手配でした。童貞にとってこれは性的同意と同義でした。

トイドラ:なんか、不快な性的同意だな……。

ぴょん子:wwww(ずっと笑っている)

 パチンコで例えるなら大当たり確定演出状態。夜のお楽しみを想像してウッキウキで京都へ向かう新幹線の車内で僕とYさんは何気ない会話をします。話題はお互いの恋愛話へ移ります。

「私、最近好きな人が出来たんだけど全然相手にして貰えなくて......」

 ん???? 随分と風向きが変わって来たぞ? 好きな人が居て何故他の男と泊まりで旅行へ......?僕の脳内はパンク寸前でした。パチンコ「CR童貞」のディスプレイには「はずれ」の文字が浮かび始めていましたが、後戻り出来ません。やるしかないのです。

 胸騒ぎをなんとか抑え込み、京都観光初日はつつがなく終わりました。日暮れと共に僕たちは旅館へと向かい、チェックインを済ませ部屋へと入りました。襖を開けると直ぐに布団が並べて敷かれているのが目に入りました。僕は「ゴクリ」と生唾を飲み込みました。

ぴょん子:wwww(ツボにはまっている)

 その日のそこから先の出来事ははあまり覚えていません。明確に覚えているのは、Yさんから言われた「そういうのじゃないから」というあまりに冷たい拒絶の言葉だけです。エースも訂正を要求できない程の「敗北者」となってしまった訳です。

トイドラ:取り消せよ……! 今の言葉……!

 翌日、僕らは別行動を取りました。僕らが綿密に組んだ筈のスケジュールでは、その日は古寺や神社を数軒巡る予定でした。しかしYさんは急遽「美術館を見てくる」と言い残し、帰りの新幹線の時間まで合流することはありませんでした。

 勿論、この件があってからYさんとは連絡を取っていません。この件を自分としては新幹線のくだりの時点でコールド負けの試合だと思っていますが、「やれた」世界線はあったのでしょうか。審査員の皆様の見解をお聞かせください。

 思わせぶりな態度への耐性や対処法が解らなかった童貞の頃の苦い思い出ですが、今回の催しを盛り上げる為に恥を忍んで書き連ねました。長文失礼いたしました。

 

神童貞夫:以上です。

一同:(拍手)

トイドラ:素晴らしい。素晴らしい「やれたかも」でした。

ぴょん子:これ好きだなあ。

神童貞夫:では判定の方をお願いします。

 

- JUDGEMENT - 

「やれたとは言えない」

 

神童貞夫:全会一致で、やれたとは言えないということで。

トイドラ:これは多分みんな同じようなことを考えてるんじゃないかな。

神童貞夫:やれた世界線はあったと思いますか? トイドラさん。

トイドラ:正直なかったんじゃないかと。Yさんの行動を追っていくと、典型的な「マジで友達としか思ってない男子」に対するやり口なんですよね。「良かったら一緒に行く?(笑)」っていう投稿者さんのメッセージ、この必死の(笑)を僕は評価したいですけど、こんな(笑)女の子にはまあ通用しませんよね。男女の友情を割と気楽に扱っちゃうタイプの女の子かな、と思うんですけども。

ぴょん子:沁みるなあ。

トイドラ:「部屋1つでいい?」とか聞いてる時も、投稿者さんは同意を取ってるつもりだったわけですよね。でも女の子からしたら「まさかあいつがそんな……」としか思ってない。ただすれ違ってるだけなんですよね。女の子側の行動も、投稿者さんを全く異性として見ていない前提で考えれば整合性は取れてる。別に変に思わせぶりなことはしてませんよ。で、投稿者さん側も一貫して童貞ムーブをしてる。ただお互いに、相手を理解できてなかっただけです。

ぴょん子:うーん。

トイドラ:その証拠にこの女の子、投稿者さんからそういう目で見られてるって分かった途端に拒絶して、別行動してるじゃないですか。本当にその気がなかったんですよ。一時の迷いで「ちょっと寝てもいいかな?」とかもない。最初から、もう何もなかったんですよ。

一同:…………。

トイドラ:…………悲しい出来事ですよね。

ぴょん子:悲しい出来事だなあ。

ナトリウム榊:女の子からしたら、単純に友達と旅行に行ってるだけのつもりですもんね。投稿者さんの方から特にそういうアプローチもなさそうだったし。やれた世界線があるとしたら、旅行中にめちゃくちゃ頑張って女の子を好きにさせるとか……

トイドラ:あと12回くらい旅行に行く必要あるけどな。

ナトリウム榊:それはそうですね。

トイドラ:何なら彼自身も分かってるでしょ。「新幹線のくだりの時点でコールド負け」って自分で書いてますけど、その通りですよ。

神童貞夫:でも、止まれなかった……。

トイドラ:まあ、童貞らしくてかわいいと思います。

ぴょん子:私はこの人、すごい好きですね(笑) だからもう童貞じゃないんだと思いますけど。

ナトリウム榊:そう、ちゃんと成長してるんですよね。

トイドラ:いい話だなあ。

神童貞夫:ちなみに僕も「やれたとは言えない」に入れました。負けが確定したのは新幹線のシーンなんだけど、その前からすでに敗色濃厚です。

ナトリウム榊:そうなんだ。

神童貞夫:「お互いの近況や恋愛の相談など何でも話すことが出来ました」っていうのが冒頭にあるんですけど……

トイドラ:!?!?

ぴょん子:wwww 本当だこれwwww

神童貞夫:女性は恋愛対象の男性に恋愛相談しないですから。

トイドラ:中学生男子には辛辣すぎる現実だな……。

ぴょん子:すごい、間違いないわ。

神童貞夫:あともう1つ。旅館のこととか全て聞いたうえで性的同意としてるのが大分キツくて。「逃げ道を与えてる」って書いてあるんですけど、与えるとしたら相手に「断る」という逃げ道じゃなくて「何かあったとき男性のせいにする」という責任の逃げ道を与えるべきだった。

一同:…………!?(どよめき)

神童貞夫:旅行のことは投稿者さんの方で先に決めておいちゃって、終わったときに「あの時は雰囲気で……」と女の子が今の好きな人に説明できるような、責任の逃げ道を作ってあげる方が大事かな、と思います。

ナトリウム榊:おおーーー!!

ぴょん子:素晴らしい!! いやすごいなあ。

トイドラ:真っ当すぎるだろ。お前本当に神童貞(しんどうさだか???

ナトリウム榊:泣いちゃった。

 

神童貞夫:ここからまだまだ長いですよ。6つ目のエピソードです。

 

Episode 6: 22歳 学生 男性 EM黒澤 さん

 相席の居酒屋に行った時の話。友達と飲んでいると、50代くらいの部長風の紳士と30代くらいのモサっとした女性の二人連れが同じ卓にやってきて一緒に飲む流れになる。若者が二人で飲んでいたので絡みたくなったようだ。部長はとても陽気な人で、女性は飲み友だちらしい。いつも昼間からこうして飲んでいるという。ちなみに女性はよくある未婚30代という感じで、おかずクラブのオカリナ似。お世辞にも美人とは言えない。

 その日は昼間からずっと飲んでいた。夕方に店を出て、2軒目にハシゴすることになった。部長のおごりだというから、これは行くしかない。しかしその時点でみんなかなり酔っており、女の人に至ってはベロベロだった。2軒目の居酒屋で女の人はトイレに駆け込んだきりずっと寝ていた。が暫くして目を覚ましたので、席が隣だったのもあってその女性と雑談をした。ただの陽気な女かと思っていたが、話すうちに並々ならぬサブカルオタクであることが判明し、気が合った。自分も90年代サブカルは好きなので、話すうち女の方が気を許してくれたような雰囲気を感じた。そして、だんだん陽気さが剥がれ落ちてメンヘラ女になってきた。

夜も更け、帰る時間になった。飲み仲間の義務ということで、部長が女の人をタクシーで送っていくことになった。と思いきや、女の人は俺に家まで送ってほしいと言い出す。これはもう脈アリじゃん、と酔った頭で思うが、正直この女が全くタイプじゃない。部長も「うまくやれよ!」みたいな雰囲気をかもし出しつつタクシーに乗って帰ってしまった。困る気持ち半分、好奇心半分でとにかく女を家まで送っていく。さっきまでの陽気女はもうどこにもおらず、ただサブカルと己の闇深さを語り続けるだけのメンヘラがそこにいた。腕とか組まれていた気もする。

結局、女の自宅近くの公園まで行ったが、女は話し続けていて家に帰る様子がない。ベンチに座って話していたのだが、女がいきなり立ち上がり、俺の上に跨ってきた。丸顔が目の前に迫る。女はお互いマスクをしたまま俺に口付けし、抱きついてきた。自分も酔っていたので、なんかわぁあったかいなといった感じでほっておいた気がする。女が
「家に上がってく?」
と言ったので、俺は
「いや、冗談でしょ」
みたいなことを返事した気がする。それからしばらくイチャつかれた後、女は結局家に吸い込まれていきました。

あの時俺はやれたのでしょうか。自分の方にそんなにやる気がなかったのもありますが、どこかもったいない経験だった気がします。審判を下してください。

 

神童貞夫:以上です。判定をどうぞ。

 

- JUDGEMENT - 

「やれたとは言えない」

 

神童貞夫:「やれたとは言えない」多数により、やれたとは言えないと認定します。

トイドラ:けっこう難しいよなあ。

神童貞夫:じゃあトイドラさん、意見聞かせてください。

トイドラ:男性側と女性側、両面から考えます。男性の方は、もう自分で「あんまりやる気なかった」と言っちゃってますよね。全然タイプじゃないらしいし、抱きつかれた感想が「わぁあったかいな」というのは、もう相手を肉の塊としか思ってないですよ。

ぴょん子:wwww

トイドラ:とはいえ、女性がビッチであればやれたのでは?とも思うわけですが……僕にはこの女性がビッチには思えないんですよね。普段は陽気女を気取っていて、自分よりはるかに年上の男性と2人で飲みに来ていて、容姿は悪いと。男を食い慣れている気があんまりしません。本当にただ構ってほしかっただけなのでは? この2者のやれたかも度を足し合わせても、まあ1やれたかもには到達できないかな。

ナトリウム榊:なるほど?

トイドラ:女性の方がギャルっぽいビッチなら話は変わりますけどね。おかずクラブ似のメンヘラっていうのは、ちょっと辛いものがあるかと。

神童貞夫:同じく「やれたとは言えない」に挙げたナトリウムさんは?

ナトリウム榊:いや、男の人ぜんぜんやる気ないじゃないですか。女の人も、ズルズルと自分の闇を話し続けるだけのメンヘラになっちゃった時点で、その気にさせるようなテクニックがある感じでもないし。男の人はやる気ないし、女の人もやる気にさせられないしで、全く可能性はなかったと思います。

神童貞夫:じゃあ「やれた」に挙げたぴょん子さん。

ぴょん子:まあ、シンプルに男性にやる気があればやれたんじゃないですか……? 女性側のアプローチとかは置いておいて。

トイドラ:へえ。1個ぴょん子さんに聞いてみたいんですが、これ女性側にやる気あったと思いますか?

ぴょん子:まあ~~…………こんだけ外で抱きついたりしてるんだから、別にやる気なくはないと思いますけど。

トイドラ:そうなんだ。

ぴょん子:逆にどう思うんですか?

トイドラ:トイドラセンサーが反応してるんですけど、こういうタイプの人っていざベッドに入ったら「私デブだから脱ぎたくない」とか言って帰されそうな気がします。

ぴょん子:??? いやー、でも「家上がってく?」って女性から誘ってるんですよ。

トイドラ:……僕が女性を信じてなさすぎ??

一同:…………。

トイドラ:女性ってそういうことしません?

ぴょん子:メンヘラのこと分かんないな。

ナトリウム榊:部長と女性が飲み友達で、部長が「上手くやれよ!」みたいな感じを醸し出してたってことは、部長と女性はやったことがあるんじゃないですか?

トイドラ:いやいやいや。僕は部長と女性もやったことないと考えます。

ナトリウム榊:マジすか。

トイドラ:マジでただの飲み友達で、いつも酔っぱらった女性をその辺の若者に押し付けて帰ってるんじゃないでしょうか。

神童貞夫:最悪な読みだな。

ぴょん子:女性が投稿者さんを気に入ってそうな雰囲気を察知して、部長が気を利かせた可能性もありますよ。

トイドラ:なるほど。神童的にはどうなんですか?

神童貞夫:神童チェックは「やれた」と判定しております。

一同:おおー。

神童貞夫:男性が気を許せばやれたかと。部長と飲んでるときは女性は陽気だったんですよね? で、投稿者さんと飲んでるとメンヘラになった。酒が入ったというのも当然あるでしょうけど、それ以前にたぶん空気が読める女性なんですよ。

一同:ああ~。

神童貞夫:EM黒沢さんも陽気というより鬱屈した人だと思うので、女性はただ相手に合わせて会話していただけかと。女性側がずっと黒沢さんに寄り添う姿勢を見せていたとすれば、環境的にはやれたと思います。

トイドラ:さすがの見解ですね。

ぴょん子:いや~女性への読み取りが深い。

 

神童貞夫:では次。全てがひみつの投稿です。

 

Episode 7: ひみつ歳 ひみつ 女性 ひみつ さん

 夜、教授の部屋で「手を握ってもいいですか」と聞いたら「こういうことを我慢できなければこの仕事はつとまらないから」と言われた。

 

一同:wwwwww

 

- JUDGEMENT - 



「やれたとは言えない」

 

神童貞夫:「やれたとは言えない」多数で、この話はやれたとは言えないと認定します。

トイドラ:ウソだろ!?!? 何故だ!!

神童貞夫:落ち着いてください。

トイドラ:なんで!? おかしいでしょ!

一同:wwwwww

トイドラ:何故だ…………

神童貞夫:落ち着いて。何故なのか聞いていきましょうよ。

ナトリウム榊:「こういうことを我慢できなければこの仕事はつとまらないから」でしょ。

ぴょん子:wwwwww(爆笑)

トイドラ:何なんだ。

ぴょん子:このセリフを用意してる時点で、こういうことが前からあったのかな?って予想できるというか……手を出して痛い目見たのか、痛い目見た人が周りにいたのか。手は出さないんじゃないのかな、さすがに。

ナトリウム榊:なんか慣れた回答ですよね。

神童貞夫:トイドラさん、ビシッと言ってやってくださいよ。

トイドラ:僕は、教授も動揺してると思いました。

ぴょん子:…………。

トイドラ:だって「こういうこと」って言っちゃってるし。「こういうこと」って言っちゃってますもん。手を握ることを「こういうこと」って言っちゃってますから。

神童貞夫:もう、想像はしてると。

トイドラ:頭ん中でね。もう、ドラえもんと一緒ですよ。あんなこといいな、できたらいいなって。あんな夢こんな夢いっぱいあるんですよ。

一同:(引き笑い)

トイドラ:だからやれちゃってますよ。何ならやったんじゃないですか? この後。

神童貞夫:!?!? レギュレーション違反じゃん。

ぴょん子:やれてないからwwww

トイドラ:「我慢できなければこの仕事はつとまらない」って言ってますが、逆に言えば、今までは我慢できたから務まってきただけ。仮定形になってますからね文章が。「ければ」って入ってますから。

ぴょん子:wwww

トイドラ:本当に何もその気がなければ、「そんなこと言うのはやめなさい」みたいな文章になるはずなんですよ。ここに仮定形が入り込んでるっていうのは、そうじゃない世界線を教授が頭の中に思い浮かべてるってことでしょ。もう一押しがあれば、もう…………もう、やれてます。

ナトリウム榊:その一押しができないような、威厳のある口ぶりだったんじゃないですか?

トイドラ:いやいや。僕が思うにきっと「こ、こ、こ、こういうことをがががが我慢できなけれびゃ、、、、kkこの仕事はつと、つ、つとまらないから・・・(汗)」みたいな感じだったと思いますよ。

ナトリウム榊:…………(憐れむような眼)

トイドラ:もう1つポイントがあります。この方の情報、ひみつ歳・職業ひみつ・女性・ひみつさん。もうエッチな人じゃないですか。どう考えても。

一同:!?!?

神童貞夫:おやおや。

トイドラ:だからです。

ぴょん子:wwww(ツボにはまっている)

神童貞夫:ちなみにこのエピソード、今回唯一の女性エピソードですね。

ナトリウム榊:素晴らしいなあ。

トイドラ:この話を書けるのは、やっぱりひみつさんだけだと思います。

ぴょん子:すごい信用してるなww

神童貞夫:ちなみに――僕も、やれたと判断しました!

トイドラ:信じてました。

神童貞夫:教授はきっと優しくて頭が回る人だと思いますよ。でもまず、「我慢」って言葉を使ってますからね。

トイドラ:そう、そうだよ! そこが気になったんだよ!

神童貞夫:そこに本心があるじゃん。押し方次第だったと思います。

トイドラ:間違いないっす。

ぴょん子:wwww

 

神童貞夫:では、8番目のエピソード行きます。

 

Episode 8: 25歳 メーカー勤務 男性 金魚 さん

始まりは、高校の修学旅行でした。
当時の私は女性経験に乏しく、かつ女子と接する機会も少ないので、周りにいる女子という存在に怯えていました。

神童貞夫:ここ「高校の修学旅行」って書いてありますが、これ以降は合宿の話をしてるので多分「高校の合宿」の間違いかと。

ぴょん子:ほんとだ。よく気付くなあ。

しかし、私はテニス部に所属しており、そのマネージャーに密かな恋を抱いていました。関係値のある相手、とも言うのでしょうか。同じく女性経験の乏しい方なら分かると思うのですが、実際に付き合う事を考える上で恋をする相手というのは大抵実在している相手に限られるため、接点のある相手を好きになってしまうものだと思います。私もそうでした。

トイドラ:「実在している相手」……? すごい言い方だな。

そのマネージャー(以下Y)は、明朗快活で、男勝りな面があるため、私みたいなコミュニケーションの苦手な男性にもガツガツ話しかけてくれる人でした。

部活で合宿に行ったとき、事件が訪れました。
当然合宿といえど男女は別部屋であり、私も夕方まで練習したあとは同室の友人数人と持ち寄ったトランプで遊びながら、談笑していました。
合宿は夏に行われたため蒸し暑く、合宿所は冷房の効きが悪かったのか汗が止まりませんでした。私は見かねて、「コンビニにアイス買ってくるから、欲しいもんあったらLINEして」と言い、一人で出かけることになりました(今思えば合宿といえど結構緩めでした)。
外に出てコンビニに着くと、そこにはYがいました。女子マネは3人ですが、じゃんけんに負けたYが飲み物を買うつもりでコンビニに来たようです。

お互いに買い物を済ませたあと、合宿所まで一緒に歩くことになったのですが、その手前まで来たときに、Yが「もうちょっとだけ喋らない?」と提案しました。
僕は少しだけ、この先の非日常を期待しながら了承しました。さらにYが雑談の場に選んだのは、合宿所の使われていない部屋。僕はひどく動揺し、しかし期待が振り切り彼女に着いていくことにしました。

そこから数分間話し合い、ついに話題は恋愛になりました。Yは今年引退した部長と少しの間付き合っていたが、今はフリーとの事でした。ここからが肝心なのですが、そもそも僕の方から恋愛の話を振った訳ではなく(そんな度胸もなく)、テーマの発端はYの方からでした。私はなんとなく、恋愛の話を始めて、今がフリーであることを男に伝えるのは脈アリなんじゃないか、と思い、あまり気が気じゃありませんでした。今押せばいけるんじゃないか。ホラ、行けよ!今なんだよ!!と頭の中が叫びますが、いざカッコつけた一言を、と考えるとどうしても上手く言葉が出てきません。視線をキョロキョロさせていると、それを彼女が「そろそろ戻りたい」と解釈したのでしょうか。「じゃ、ごめんね。色々喋ってくれてありがと!」と言い女子部屋へ戻っていきました。

あの時、私はどうすれば良かったのでしょうか。好きな相手にあの状況に持ち込まれて、成功できるメンタルや女性経験があれば良かったのでしょうか。審査をお願いします。

p.s. アイスは溶けていました。

 

神童貞夫:以上です。

一同:…………。

神童貞夫:判定お願いします。

 

- JUDGEMENT - 

神童貞夫:悩ましそうですね?

ナトリウム榊:悩ましい……。

「やれたとは言えない」

 

神童貞夫:「やれたとは言えない」多数により、この話はやれたとは言えないと認定します。

ナトリウム榊:…………。

ぴょん子:…………。

トイドラ:…………うん、いや、お2人の気持ち分かります。

神童貞夫:wwww 優しさで入れた票ですか?

トイドラ:これが全会一致で「やれたとは言えない」になるのは悲しかったので……。

一同:…………。

トイドラ:やれたとして、実際にやれるまでのステップはまだ非常に多いとは思いますよ。ただ、やれなかったのか?と言われたら僕はそんなことはないと言いたいです。

一同:…………。

トイドラ:うん。…………あの、ギャルゲーの導入としては悪くないです。

ナトリウム榊:まだだいぶステップあるな。

ぴょん子:…………高校生ですからね。高校のよくある青春の1ページって感じで、女性からしたら別に「そんなつもりはなかった」ってなるんじゃないですか。

神童貞夫:ナトリウムさんは?

ナトリウム榊:これ、いわゆる「こんな僕とも話してくれる女の子」ですよね。

神童貞夫:よくあるパターン。

ナトリウム榊:まあ「もうちょっとだけ喋らない?」と言ってもらえた時点で、少なくとも話しにくい相手ではなかったのかな?とは思うけど……まあ、それだけですね。

ぴょん子:悲しいなあ。

ナトリウム榊:それ以上の素振りもないし、恋愛の話も流れでしただけだと思うし……。ストーリー自体はエッチですけど、まあ……ここからエッチになるのはフィクションだけなんで。

一同:…………。

トイドラ:神童さんの意見聞きたいです。

神童貞夫:では。まずこの金魚さんという方、結構プライドが高めな方なのかな?というふうに思います。

ぴょん子:ほう?

神童貞夫:最初の方「関係値のある相手~」のくだりなんですけど、これって別に当たり前だよな?という。

一同:!?!?

神童貞夫:そもそも実在しない相手、見たこともない相手に恋するっていうのは3次元だったらありえない話で、それをわざわざこういう言い回しにしちゃうあたりから滲み出てませんか。

ナトリウム榊:言われてみれば当たり前のこと言ってるなあ。

ぴょん子:wwww

神童貞夫:最後に「何かカッコつけた一言を!」って考えてるあたりも、別に相手から「もう少し話そう」とアプローチを受けてるんだから、カッコつけたことなんて言う必要ないんですよ。なのに、カッコつけた一言を考えて、キョドって視線をキョロキョロさせちゃったのは良くないです。

トイドラ:で、最後に「p.s. アイスは溶けていました」という一文を添えちゃったと。

神童貞夫:それも、ちょっとカッコつけすぎかな?って思いました!

ぴょん子:wwww(爆笑)

トイドラ:まあ僕はこの一文キライではないけど、普通に同意見ですね。

神童貞夫:なんだろう。青春ヘラですよね。

トイドラ:まだ25歳なので頑張ってほしい。

ぴょん子:あ、でも「当時の私は女性経験に乏しく」って書いてあるから、今は普通にモテてるんじゃないですか?

トイドラ:ほんとだ! まあ今はカッコつけたひとこと言えるからな。

神童貞夫:「p.s. アイスは溶けていました」ってね。

トイドラ:そういうアピールだったのか。

ぴょん子:成長を感じました。

 

神童貞夫:それでは最後のエピソードに移りましょう。

トイドラ:現状「やれた」が2つしかないよ。意外と厳しいな。

 

Episode 9: 20歳前後 学生 男性 サラーフ さん

 大学2年生のころ、私の所属しているサークルにある女性が入ってきました。初対面の印象は長い黒髪がとても綺麗な小柄な方という感じでした。話してみるととても知的で自分の意見はしっかりと主張するものの、でもどこか悩みを抱えているような、そんなミステリアスな部分を持っているように思えました。

 話は変わりますが、そのころ私はある病気を患っていました。と言ってもそれは精神的なもので、病状によってはサークルを休むことも多々ありました。

 そんなこんなで休んでいたある日、一本のLINE通話がかかってきました。あの女性からでした。
 「どうしたの?」と聞くと彼女は「友達からあなたの病気のことを聞いたの。大丈夫?実は今習い事の帰り道で、あなたの家が近いのだけれど少し様子をみてもいい?」と答えました。私は人に会う気分ではなかったけれど優しさを無碍にするのもと考え「いいよ」と答えました。5分ぐらい経って彼女が玄関のチャイムを鳴らしました。ドアを開けた先の彼女は一輪の切り花を持っていました。
「これ、習い事で使ったの。よかったら貰って。」

 それからというもの、彼女は事あるごとに私の家を訪ねてきて、私に花を送ってくれました。マリーゴールド、スズラン、百合、毎日のように様々な花を持ってきては長持ちさせるには何日ごとに水を変えるのか下の茎を切った方がと熱心に語るので、いつしか私はそれが毎日の楽しみになっていきました。彼女はいつも玄関先に立っていて、私がお茶を淹れようかと家に誘ってもすぐ帰るからと断られていました。

 そんなある日彼女は「近所に気になる飲み屋さんがあるの。一緒に行ってみない?」と誘ってきました。私は一緒に行くことにしました。個人が経営する小さな焼き鳥屋でした。私はそこで日本酒を、彼女はレモンサワーを濃いめで頼みました。ある程度飲み進めた後、彼女はポツリポツリと話出しました。高校の時から男性が怖かったが、女性社会にもうまく馴染めず自分の性自認がよくわからないということ、現在もストーカーにあったり男性とも上手くコミュニケーションが取れないことなどをゆっくりと話していきました。私はその話を相槌を打ちながら聴き、自分もまた高校の時の女性関係がトラウマになっている事を話しました。彼女もまたそれを黙って聞いてくれました。

トイドラ:なんか悲しくなってきたな……。

ぴょん子:ww

 お互い三杯ほどのお酒を飲みいい頃合いになって来たあたりで私達は店を出ることにしました。その帰り際に彼女は唐突に「百合の花が見たい。君の家にまだある?」と尋ねました。百合は彼女がその時の一週間前にくれた花で、幸い彼女の言う通りに手入れをしていたおかげで葉が多少萎んだぐらいで白い花弁もまだ綺麗な状態だったのです。なので私は彼女を家に上げることにしました。
 家にあげて百合が飾ってあるキッチンの方へ向かいました。百合は流しの横でささやかに咲いていました。「ちゃんと手入れされてるね」という彼女が言ったあとは、お互い言葉少なに、隣り合ってその百合の花を眺めていました。肩が触れ合うような近さで時々白くて細い指が私の指を触れるか触れないかの距離にあり、ストレートの長い黒髪からはほんの少し線香の匂いがした事が記憶に残っています。

トイドラ:情景描写が多いな。

 私は彼女に素直に好意を伝えようかと考えていました。男性が苦手だったとしても、お互いに似たような悩みを打ち明けあった仲だしもしかしたらという気持ちと、彼女が男性恐怖のことを打ち明けてくれるほど信頼してくれたのに好意などぶつけてしまったらぶち壊しになってしまうのではという気持ちが鬩ぎ合っていました。
 そうして、5分ぐらい経ったでしょうか、私が意を決して彼女の手を握ろうとしたその時……

トイドラ:やったれ!

彼女の携帯が通知音が鳴りました。私は咄嗟に動作をやめてしまい、彼女は携帯を手に取るとLINEを見始めました。
「彼氏が迎えに来たって。」の言葉に頭が真っ白になりました。

一同:wwww(爆笑)

ナトリウム榊:面白すぎるだろ。

動かない頭を必死に動かしながら聞き返すと、どうやらさっき話したストーカーでもない、幼馴染の彼氏が車で迎えに来たようなのです。

トイドラ:しかも幼馴染か~。

ぴょん子:何なんだ……。

 その後はよく覚えていません。帰る彼女を見送りドアが閉まった瞬間私は膝から崩れ落ちました。一体さっきの逡巡は何だったのでしょう。彼女はなぜ何度も私に花を贈り、二人きりで飲みに誘ってきたのでしょう。なぜ彼女は花が見たいと言ったのでしょう。
 もし私があの時、あのLINE通知より数秒早く彼女の手を握ることができたのなら、私はやれたのでしょうか。

 長文失礼しました。どうか判定をお願いします。ちなみに彼氏の車はMAZDASUVでした。

 

ぴょん子:女こわ。

神童貞夫:判定お願いします。

 

- JUDGEMENT - 

ぴょん子:んん~……

「やれたとは言えない」

 

一同:おお~。

神童貞夫:「やれたとは言えない」多数により、この話はやれたとは言えないということで。

ナトリウム榊:この話マジ、何??

トイドラ:ちょっと、先に神童さんの意見を聞いておきたいな。

神童貞夫:なるほど、いいでしょう。僕の意見は……「やれたとは言えない」ですね。残念ながら。

トイドラ:おお~。

神童貞夫:この女性の方が、単に人に優しいタイプだった、って解釈するのが一番近いかな~、と。それまでの人生経験からコミュニケーションが苦手で、常にちょっと気後れしているタイプの人間。そこからくる相手への謙虚さが、勘違いさせる要因だったかな~というふうに思います。要は「誠実なコミュ障」。

トイドラ:うんうん。

神童貞夫:誠実さが見えるシーンですが、サラーフさんと飲みに行く前、女性にはすでに彼氏がいたわけですよね。だから、花を渡しには行くんだけど玄関先から中には入らない。

トイドラ:そうですね。これ大事な部分ですよね。

神童貞夫:彼氏に対して誠実な態度を取ってるわけです。ただ、そのせいで相手からお茶の誘いを何度も断ることになってしまった。その申し訳なさが募っていった結果、「ちょっと飲みに行こうか」って話になったのかと思います。

トイドラ:なるほどなあ。

ぴょん子:(苦笑) んん~……。

神童貞夫:彼女も自分のコミュニケーション能力に自信がなかったとすれば、ちょっとお酒の力を借りようと思って飲みに誘った可能性がありますよね。まあそれでも2人で飲みに行くってのは際どいですが。

トイドラ:かなり鋭い考察だと思いますね。

神童貞夫:これこそ、相手から性的なアクションがなかったというやつです。

トイドラ:そう、これは本当にないよね。

神童貞夫:単純に相手が優しい対応をしてただけ。

ナトリウム榊:うんうん。

トイドラ:まあサラーフさんに1つだけ言いたいことがあるとしたら、「SEXは別に優しさじゃないよ」ってことですかね。

神童貞夫:wwww

ぴょん子:…………(難しい顔)

神童貞夫:もうちょっと話を続けましょう。このあと彼氏が来るわけですけど……

ぴょん子:wwwwww(爆笑)

神童貞夫:彼氏を呼んでから到着するまで、まあ5分くらいかかるわけです。その5分間どうしよう?ってことで、「ちょっと百合の花見せてよ」って流れになったのかなと思います。

トイドラ:彼氏の迎えを待つ間のヒマつぶし、と。

神童貞夫:可能性の話ですが。なのでやれたとは言えず、この女性は単に優しい人だったのかなあ?みたいな……

ぴょん子:…………wwww(爆笑)

トイドラ:ぴょん子さんご乱心だな。

ぴょん子:先に話しちゃってくださいww

ナトリウム榊:なんか怖いな。

トイドラ:僕の意見もほぼ同じです。メサイア・コンプレックス、というほどではないが……まあ女性の方が他人に対して気づかいするタイプだった、というだけかと。ただ、男性に優しくしたらどうなるか、ということだけ分かってなかった。

ぴょん子:(荒い息遣い)

トイドラ:心底僕は、こういう女性は良くないと思います。

神童貞夫:彼氏がいるのに勘違いさせるような行動をした、っていうのは業が深いかな。

トイドラ:でね、サラーフさんにも言いたいんですが……相手が男性恐怖症だからって、彼氏がいないわけではないですよ。

神童貞夫:そりゃそうだ(即答)

ナトリウム榊:そりゃそうだって言っちゃうんだ……。

トイドラ:「幼馴染の彼氏」っていうのがまた、すごく……ダシが出てますよね。多分、その女性の過去から今まで全部分かった上で長く付き合ってるんでしょ。

神童貞夫:まあサラーフさんは悪くないですよ。とてもよくある勘違いをしただけなんで。やれてはいないけど。

トイドラ:別にLINE通知より何秒早く手を握っていても、やれてはいないね。何なら彼女の手を握らなかったのは正解だと思います。「好意などぶつけてしまったらぶち壊しになってしまうのでは?という気持ちが鬩ぎ合っていた」と書いてくれてますけど、実際ぶち壊しになってたと思いますから。

神童貞夫:まあねww

ナトリウム榊:うん。

一同:…………。

神童貞夫:どうですか? ナトリウムさん。

ナトリウム榊:「病気を気にして毎日花を持ってくる」っていうのがありましたけど、自分的には結構シュミが悪いなあ、と思いました。お茶に誘われては断る、みたいな関係性で飲みに誘ったときに、男性恐怖症の話とかしちゃうのもシュミの良いもんではないなと思うし。単に優しい人にしてはそのあたりの思慮が浅すぎるな~と思ったから、もう1つの可能性としては、この女の人も精神的に弱い部分があって、彼氏ではちょっと埋められなかった部分っていうのをサラーフさんに求めてたのかもしれない、っていうふうに思いました。だとしたら絶対にやれはしなかったかな、と。

トイドラ:非常に納得感のある意見ですね。

神童貞夫:……では、やれたと思ったぴょん子さんに伺ってみましょうか。

ぴょん子:…………。

一同:…………。

ぴょん子:やれたとかいう以前に、こうやって男性は女性に騙されていくんだな、とすごく感じました。

トイドラ:こわいよ。

ぴょん子:これは、相当悪い女だと思います……。

ナトリウム榊:wwww

トイドラ:すごいwwww

ぴょん子:もう、性的アクションがないことでより悪い女だと思います。男の子をそういう気にさせるのが上手いというか、もう慣れてるのか知らないですけど。1輪の切り花持っていくのとか、狙ってやってる感じがすごいしちゃいますね。何だろうな? なんかすごいこの女性に嫌悪感を抱きます。

一同:wwww(爆笑)

トイドラ:そこまで言っちゃうんだwwww

ぴょん子:こいつはヤバい女ってことだけ分かります。

トイドラ:事実、ここまで僕と神童さんが話してたことは女の子が優しい人って前提で話してたわけですけど、これを演じてるんだとしたらそりゃ大悪党だと思いますよ。

ナトリウム榊:それはそうww 単純に優しいだけでここまでする?っていうね。

トイドラ:確かに、単純に優しいだけではないよ。サラーフさんを助けたいっていう純粋なボランティア精神ではなくて、サラーフさんを助けることで自分が満足したかったのは間違いない。

神童貞夫:ある種メサイア・コンプレックスの要素はあると。

トイドラ:じゃないと、他人に花を世話させるなんていう押しつけがましいことしないでしょ。ただのお見舞いなら飲み物とか食べ物とか買ってくればいいんだから。

ナトリウム榊:一理ある。

トイドラ:わざわざ花を世話するっていう責務を負わせるのは、この人の中で相手に求めるものがあったからだと思いますよ。

ぴょん子:私が「やれたとは言えない」に挙げなかった理由としては、迎えに来た彼氏が本当に彼氏だったのか気になってまして……

一同:!?!?

トイドラ:信頼度ひっく。

ぴょん子:この一連の犯行に慣れがあるというか、サークルでそんなに関わりがなかった状態からここまで持ってくる流れが周到に完成されてる感じがして。

神童貞夫:意味が分かると怖い話???

ナトリウム榊:「少し線香の匂いがした」のも含めてホラーだよ。

トイドラ:でも、2人がそんなに関わりなかったとは断言できないよ。仲良くなってからの出来事かも。

神童貞夫:いや、「マリーゴールド・スズラン・百合」っていうのが生け花だと仮定した場合、春から初夏にかけての花なので、サラーフさんとこの女の子はまだ知り合ったばかりだったはず。つまり女性が新入生として入ってきて最初の夏ごろの出来事の可能性が高いですよ。

ぴょん子:wwwwww

トイドラ:いや読みが鋭すぎるだろ。モデレーターの鑑じゃん。

ぴょん子:「現在もストーカーにあったり男性と上手くコミュニケーションが取れない」っていうの、今までも男たちに被害を与えてきてるからでは??

トイドラ:うわー確かに!! 女性が狙ってやってるのかは別にしても、これまでもこういういざこざはあったわけだ。女性側にも問題がある可能性大ですね。

ぴょん子:そういう意味で、女性側が気に入ればやれたと思ったので「やれる」に挙げさせていただきました。

トイドラ:これ、車で迎えに来た男側にも「今彼氏の家にいるから迎えに来てほしい」とか言った可能性ないっすか??

神童貞夫:お互いにあっちが彼氏だと思っている!?

ぴょん子:ありますね。そういうことですよ本当に。それをずっと考えててイライラしてましたwwww

トイドラ:なるほどね。

神童貞夫:男の勘違い全部乗せセットみたいですね。

ぴょん子:wwww

トイドラ:いいですねえ。

ぴょん子:面白かったあww 男の人全員「やれたとは言えない」でww いい子だと思ってるんだな、この女の子をww

トイドラ:泣きそうになっちゃった。

神童貞夫:もうMAZDAのことしか考えてなかったわ。

トイドラ:そういや「MAZDASUV」っていう情報は何なんでしょうね??

神童貞夫MAZDAはですね、デザインと乗り心地に全振りしたような会社なので、TOYOTAや日産みたいな一般的な車よりこだわりが強くて、なおかつちょっとアーティスト気質なとこがあります。走りにこだわるならHONDAのはずなんで。

トイドラ:じゃあお似合いなんじゃないですか? 彼氏さん。

ぴょん子:いやーこの子は「ちょっと変わった男の子ハンター」ですよ。

神童貞夫:何なら今の彼氏をストーカー呼ばわりして助けさせようとしてる可能性ありますからね。相手のメサイア・コンプレックスを刺激するような発言。

トイドラ:この話読んでて、メサコン同士の舐め合いって感じは正直ありました。雰囲気として。

ナトリウム榊:なるほど。

トイドラ:まあ結果的に2人ともメサコンとまではいかないけど、そういう兆しというか。救い救われるのが好きそうな感じですよね、2人とも。

ナトリウム榊:無自覚的にやってる可能性はありますけどね。

トイドラ:ぴょん子さんの解釈はだいぶ悪意的でしたけど、それを無意識にやっちゃってる可能性は僕も全然あると思いますね。というか、かなり確実にあると思います。

神童貞夫:そうですね。

トイドラ:…………。

神童貞夫:…………。

一同:…………。

ナトリウム榊:なんか怖くなってきちゃったな。

ぴょん子:wwww

 

神童貞夫:以上で今日の審査は終了となります。お疲れさまでした。

トイドラ:けっきょく全会一致のやれた話はなかったですね。

ナトリウム榊:「やれた」エピソードが9つ中2つというのはなかなか厳しかったですね。

ぴょん子:まあ、実際にやれてないエピソードしか来ませんから。

トイドラ:確かにww

ぴょん子:でも面白い話いっぱいあったなあ。

神童貞夫:名残惜しいですが、そろそろこの辺でお開きということで。

トイドラ:そうだね。また次なる「やれたかも」に期待して。

神童貞夫:ではさようなら。

 

 

※ 本企画は、吉田貴司によるマンガ「やれたかも委員会」のファン企画です。