大学生の自由帳

ペンギンパニックとエノキ工場の香り

サマー・ダイアリー

 

 

7月15日(月・祝)

 

今日は海の日だ。

海の日って何なんだろう。

昼過ぎに起きてからダラダラとYouTube Shortを見ていたらもう夜になってしまった。

日記を書いてみようと思う。

今までの人生、日記を書こうと思い立った日はいくつもあった。

実際に日記帳を買った日もあった。

3日と続かなかった。

一度だけ、2日続いた。

 

 

7月16日(火)

 

今日は海の日ではなかった。

だから学校に行った。

暑い。

まだ7月の真ん中くらいなのに、こんなに暑い。

登下校は地獄。

早く夏休みが来て欲しい。

今日は特に面白いことも無かった。

日記というものはその日あった面白い出来事を書くものだと思っている。

いや、そうでもないのかもしれない。

僕は芸能人ではないのだから。

 

 

7月17日(水)

 

今日もうだるような暑さだった。

雨上がりの蒸し暑さは不快だ。

あの教師は嫌いだ。

やっぱり、「見識」が狭すぎる。

あんな意味のないことにいちいち目くじら立ててないで、もっと有意義に時間を使ってくれないものだろうか。

プールは不要であるという議論とか。

「目くじら」のたくさんいる海。

バカバカしい。

夏の暑さに殺されてくれ。

要らない。

 

 

7月18日(木)

 

今日は良い日だった。

なぜなら、雨でプールが中止になったからだ。

プールは悪だ。

気持ち悪い。

家に帰ってまでこんなこと考えなくていいじゃないか。

うん。

日記が4日も続いている。

これはすごいことである。

鍾乳洞に行きたい。

涼しいから。

 

 

7月19日(金)

 

つまらないな、学校。

何にも書くことが無い。

 

 

7月20日(土)

 

夜。

虫の音。

 

 

7月21日(日)

 

冷やし中華の細切り卵はなぜあんなに美味いのだろうか。

僕の人生はなぜこうも彩りに欠けるのだろうか。

もはや悔しい。

性別が違ったら楽しかったのかな。

生まれた場所が違ったら楽しかったのかな。

運動部に入っていたら。

友達がたくさんいたら。

もっと賢かったら。

もっと明るかったら。

こういう気持ちも全部、雨が洗い流してくれたらいい。

 

 

7月23日(月)

 

ずっと白いワンピースのことを考えている。

ふわふわの白いワンピース。

毛先に少し癖のある長い黒髪。

綺麗だ。

夏休みの課題が配られた。

なんて愚かなんだろう。

どうせ真面目にやる人間の方が少ないのに。

もっと効率的な量の課題を出せばいいのに。

つくづく頭が悪い。

白い。柔らかい。いい匂い。柔らかい香り。すべすべ。ふんわりとしている。

 

 

7月25日(火)

 

今日は白いワンピースだった。

嫌いになれないところもあるもんだ。

黒い靴。

あれは革靴とは違うがスニーカーでもない。

なんだろう。

青色の髪。

今日の授業では、数か月ぶりに当てられて発言した。

前の席の女子は、僕が喋っている間ずっと肩を震わせていた。

笑っていたのか、泣いていたのか、僕には分からなかった。

 

 

7月26日(水)

 

死んだ後のことを考えていた。

でも、目を閉じて死んだ後のことは考えられなかった。

死んだらシャットダウンだ。

どうでもいいじゃないか。

ミートパイにでもしてくれ。

帰り道の炎天下、アスファルトの上で亀が死んでいた。

亀パイ。

誰も僕にバイバイをしてくれない。

運動部の人間たちは夏休みも練習のために学校に行くらしい。

そこで20%の部員は二度と家に帰れないらしい。

ざまあみろ。

 

 

7月30日(木)

 

今日は黄色だった。

宿題を終わらせた。

なんと、来年の分もだ。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

その次も。

 

 

その次も。

 

今日は亀だった。

給食は青いパイだった。

前の席の女子は死んで、朝に蝉の耳を届けに来てくれた。

夕方には今年の干支を教えに、足で来てくれた。

今年は甲年らしい。

プールは僕のものになるらしい。

 

 

亀のパイ。

 

下駄箱に火をつけた。家と、学校と、二回。

好きな女子に今日、告白する。

日焼けした肌とポニーテール。

ヘアオイルと制汗剤の匂い。

くるくるに巻いた毛先が踊ってる。

「ごめんなさい」って伝えなくちゃ。

結婚してください。

僕を見捨ててください。

さようなら。

はじめまして。

死んじゃえよ。

 

 

ごめんなさい。

 

スキップができなかった。

 

 

夏は白色。

 

今日は最高気温21℃の真夏日だったらしい。

ワンピースを着て出かけた。

白い布は日差しに溶けて、砂色になった。

財布は講座に。

岬は小腸に。

柔軟剤の匂いが好きだ。

飛行機に乗りたいな。

水面に移る自分の姿を見て、吐いた。

 

 

子供。

 

去年の夏休み明け、「もう少し成熟した日本語を使いましょう」と言われた。

何が「子供の日本語」で、何が「大人の日本語」なのか分からなかった。

苦手な漢字をたくさん使って、クラスで一番字の上手い人間の字を真似た。

言葉使いにも気を付けた。

今年の夏休み明けには、あいつも気付くだろうか。

気付くに違い無い。

やり直したい。どこから?

 

 

7月31日(水)

 

昼、冷やし中華を作って1人で食べた。

面倒くさかったので、具材は無し。

マヨネーズをかけて食べた。

美味しかった。