目次
開催の経緯
ついに残すところ1週間足らずとなった第64回名大祭では、大学生の自由研究のメンバーやその関係者が相互に協力したりしなかったりして、2日間立て続けに一貫性なく諸企画を繰り出す「エクストラステージ2023」が開催されます。
名大祭にて「エクストラステージ2023」開催します!https://t.co/A54Hyo5tmd pic.twitter.com/gRBD2mhRoP
— 大学生の自由研究 (@nu_jiyu_ken9) 2023年5月15日
このうちいくつかの企画には特にこれといった覚悟なしで参加することができますが、名大祭テーマ「あまつかぜ」という正拳突きに裏拳でカウンターする「『あまつかぜ』あいうえお作文コンテスト」もそのような企画の一つであり、既に作品募集を開始しています。
https://nujiyuken9.com/event/event002
していますが、実を言うとあんまり数が集まっていません。
(バカな、そんなはずは・・・みんな一体どうしてしまったんだ・・・?!)
(何かがおかしい・・・不自然だ・・・)
(きっと黒幕が・・・そして陰謀が・・・)
(まさか・・・・・・実行委員?!)
とは微塵も思っておらず、こんな展開は言ってしまえばまあ覚悟の上です。というかあんまりちゃんと企画の周知活動をしてこなかったので、妥当な流れまであります。
とはいえやはり、せめて今の倍くらい応募があってくれた方がM-1グランプリっぽくなって格好がつくし、審査のし甲斐もあるので、私としてはもうちょっと企画をPRしていきたいところです。
もっと言えば、当企画は直後に「学歴の暴力」ライブを控えており、「懐でほんのり温めておりました」と信長(学歴の暴力)にステージを明け渡す藤吉郎的役割が(主に私によって)期待されていますから、他の「草バトル」みたいな企画より気合を入れていきたい気持ちがあります。
しかしどうも私には、応募が振るわないのはPR不足以前に、そもそもあいうえお作文自体が(名前のアホさも相まって)なんとなくナメられており、くだらないものだと思われているからという気がしてなりません。
それはとんでもない誤解です!と豊田講堂によじ登って拡声器で叫ぶのが私の義務なのかもしれませんが、しかしよくよく反省してみると、私自身あいうえお作文の何を知っているわけでもありません。
とすれば、私が真にすべきこととは、あいうえお作文のコツとツボ、そしてやりがいを明らかにし、そしてこれを周知することではないでしょうか?
第一、企画の存在をただ宣伝するだけでは芸がないというものです。
かくして、
あいうえお作文研究会
が発足しました。以下にその第一回の概略を示します。
以下の文章は、本会のzoom録画を適宜省略しつつ文字起こししたものです。そのような文章の常ですが、現実の参加者はこれらの会話文から受ける印象よりもう多少生き生きと話しますし、もう多少愛想が良いです。
於:中央図書館ラーニングポッドC
参加者:藤田、安田、二ツ島、なんすい(オンライン)、榊原(途中退室)
お題:「ふりゃあ」(ふ/りゃ/あ)
藤田:じゃあまず、自分からいきます。
藤田1本目
(ファイヤーストーム、徹夜スケート、グリーンフェスティバルは、過去の名大祭で行われていたイベント。現在では全て消滅している。)
榊原:これは使いたくなる!(「(略)」を指さして)
藤田:そうですね、結局「りゃ」の使い方かなと思いました。一番ベーシックなのはやっぱり「略」かなって。
榊原:いや~、分かります。
藤田:やっぱりあいうえお作文の真髄は「縦読み」と「横読み」の交差だと思っているので、一応「ふりゃあ」をテーマにしている以上は名大祭っぽい言葉でいこうと思いました。
というか、大学生の自由研究に媚びてる*1あいうえお作文なんですけど。
安田:これはそのもうお手本というか、既製品をそのまま見せつけられた気がします。
藤田:「『ふりゃあ』であいうえお作文を作れ」と言われたら、わりと模範的なんじゃないかと、いや、模範的というか何と言うか...。
榊原:パチものではあるんだけど、キレイに染まっている気がします。
二ツ島:なんすいさんはどうですか?
なんすい:あいうえお作文って、作ってみると意外と難しいですね。自由過ぎて、どこを目指したらいいのか分からなくなる。
藤田:いや、そうですね。
安田:本当に。
研究成果①
難しいイニシャル(ここでいう「りゃ」)のかわし方。
意外と難しい。
安田:スベる可能性があるのが一番怖い。
なんすい:スベるとか考えない方がいいのかも。
安田1本目
二ツ島:見ないでおこう。
二ツ島:見ちゃった...。
安田:やっぱり一番ここ(「りゃ」)が難しくて、「りゃ」を探そうとすると「略」が出てきてしまう。で、こういう流れになりました。
あと、「ふりゃ『あ』」が大オチになるということで、一応文章にして、ピタッとさせてみました。
榊原:愛はそこにあると思います。
安田:ありますか。ここ(不倫)からのここ(略奪愛)ですよ。ここ(不倫)からのここ(略奪愛)を踏まえてここ(愛)はあるのかって話ですよね。
安田:しかもここ(不倫)で一回考えてほしいんですけど、やっぱり、どちらがしてるかによって話が変わってくる。男性か女性かによって、男性でも女性でもない可能性もありますけど。
榊原:あ~、なるほどね。
安田:一応もう一つありますけど、二ツ島さん書かれますか?
二ツ島:いや~、思いつかない。「りゃ」って、「り」「や」じゃダメですか?縛られすぎるというか。
安田:いやでも、これ(「りゃ」)があることでこの文章の[聞き取り不能]。
二ツ島:そんなに面白くしてない気がしちゃうなあ。結局「略」をいかに避けるかのゲームになってしまう。
藤田:あるいは、「略」の中でどう工夫するか。
二ツ島:その二択のゲームになってしまったら...
藤田:そうですね...
安田:自分はこっち(「りゃ」)がいいなと思ってます。
二ツ島:なんすいさんなんか思いついてます?
藤田:あっ、文章が送られてきてる。
なんすい:(そもそも全部頭文字にしなくても良いんですよね?頭文字にしたほうがあいうえお作文的に美しいんですか?)
二ツ島:う~ん、やっぱあいうえお作文は頭文字で始まってほしい気もする。
藤田:一応模範的なあいうえお作文であればあるほど美しいと一般にはされているが(?)、イニシャルで始めないことによってより面白くできるならばそうするべき。
二ツ島:それでおおっと言わせられたらいいですよね。逃げのそれになってしまうと、何も思いつかなかったんだなってなってしまうから。
なんすい:なるほど。
研究成果②
オチ。特に、最終行で”ピタッと”させる。
型破りには相応の技量が要求される。
二ツ島:やっぱり僕の戦略だと「り」「や」にしたい。
安田:私は「りゃ」の方が、縛られるからこその面白さがあるかなって。
藤田:一応例題のつもりだったので、縛られた方がパタ-ン出ないからいいかな、っていうのもちょっとありました。
二ツ島:あ~。例題で「ふりゃあ」はめちゃくちゃ変化球ですね。
藤田:それはちょっと思いました。
安田:一回、もう一個自分のやつあるんで。
二ツ島:お願いします。
安田:(書いている)
藤田:コメントクラブ*3の見せ方じゃないですか。
藤田:なんすいさん来てくれたら、1人1枚だったんですけど。
二ツ島:(なんすいに向かって)コメントしといてくださいよ。
安田2本目
安田:もう分かんないです。助けてほしい。
安田:やっぱ私はオチが必要かもしれないです。まず、「ふ」~「りゃ」のところがギャップですよね。フワちゃんがまさか略奪するというありえない想定から、(「あ」で)さらにまたフワちゃんのギャル要素をとりつつ、括弧で「観客大爆笑」と入れることでオチがつくっていう。
藤田:観客も略奪されてますからね。
安田:確かに。
藤田:何と言うか、2行目でシリアスになったアレを、最後にバーンとしてる感じします。
安田:やっぱオチを大事にしないといけない。
藤田:オチ派ですか。
安田:一応、落研に所属してますので。
一同:(!)
安田:一応自分の中の「ふりゃあ」はこれが以上です。
藤田:いや、意外と個性出ますね。2つ考えて2つとも「略奪」なんですね。
二ツ島:やっぱ「りゃ」で行こうと思います。
安田:採点基準ありますか?
藤田:採点基準を作り出したいっていうのがあってこれ(研究会)をやったっていうのもあります。
安田:二ツ島さんだったら、これどっちに(点を)入れますか?
二ツ島:これは...右(不倫...)ですかね。統一性があるので。
藤田:自分も右です。
二ツ島:なんすいさんはどっちですか。
安田:見えますか?
なんすい:左が実は見えてないです。
安田:自分読み上げます。
(読み上げる)
なんすい:なるほど。
安田:スベった。
二ツ島:めちゃくちゃスベってる。
藤田:音読すると...。
安田:いや、音読するとスベります。
藤田:なんか、一呼吸置いちゃうんでアレですね。
なんすい:なんか、属性が違いますね。シリアス属性とポップ属性ですよね。これは難しいですね。
安田:なんすいさん的には...?
なんすい:私は、「不倫 略奪愛 愛はそこにあるのか」の「愛」かぶりが結構気になっていて。
安田:あ~、ここですか。なるほど。そうか、ここ要らない可能性がありますね。
なんすい:構造の美しさで攻めてるやつは、やっぱりそういうところが気になってしまうかも。フワちゃんの方はもうなんでもアリなんで、崩れていてもそれが良いようなときがあると思うんですけど。
安田:確かに。
なんすい:で左側の方は、ここまで崩しているのに頭文字は全部とるんだっていう。頭文字をとった結果こうなったと思えば、それはそれで面白い気もする。
二ツ島:単一的過ぎると、合わせに行った感が出てしまう。
藤田:あ~、なるほど。
安田:確かにこれはそうですね。「『ふ』と言ったら」という思い出しで書いてしまったので。
二ツ島:だからこそ「ふりゃあ」の「りゃ」が難しいのがそこで、縛られるっていうのはあいうえお作文においては結構デカいですよ。
安田:形に統一性があったほうが、やっぱ見栄えもいいんですかね。
藤田:「ふ」「りゃ」「あ」の並びであることが必然であったかのように振る舞わなければならない。
安田:難しい。
なんすい:でもそう思うと総合的に右かな。筋が通ってる気がする。
研究成果③
あいうえお作文の中には音読に適さないものがある。
美しい路線で攻めるなら、ディテールまでこだわる必要がある。
「合わせに行った感」との戦い。
二ツ島1本目
なんすい:いいですねぇ。
安田:じゃあ解説お願いします。
二ツ島:まあ「りゃ」からですよね。「略式詠唱」が面白いなと思って、「あ」は「歩く~」にしようと。「略式詠唱」だから、「ネクロノミコン」だと。
「ふ」はめちゃくちゃ考えたんですよ。やっぱ略式詠唱感、略式詠唱で強いぞっていうのが欲しいから。
そんだけです。解説とかないです、こんなの。
藤田:漫画みたいなあいうえお作文ですね。コマが見えます。
二ツ島:俳句みたいな評価の仕方ですね。
安田:素晴らしいですねこれは。
なんすい:あくまで評価軸の1つでしかなんですけど、俳句と同じように、少ない文字の中でどれだけ情報量を盛り込めるのかも重要なのかもしれませんね。
どうしてもあいうえお作文って説明的になってしまいますが、そうならないものもいいなぁって。
二ツ島くんのこれはなんかいいな。バランスが良い。字で見たときにも、色んな種類の字を使っていて、[聞き取り不能]みたいですね。
安田:色んな種類の文字。
藤田:いや確かにそれ大事かもしれないですね。(安田1と比べて)対々和*4と平和*5みたいな。
二ツ島:こういう平和系でいくなら、結構役を乗っけやすいですよね。
なんすい:あいうえお作文はレイアウトデザインの評価に近いものがある気がします。
一元的な正しさや目指す場所はないんですけど、色んなスタイルがあって、それに最適な形みたいなのが存在するはず。
藤田:「不倫 略奪愛...」の方は、寧ろこの内容でいくなら、この硬くて短いバレットパンチみたいなスタイルの作文がマッチしているのに対して、こっち(二ツ島)のポップでファンタジーなやつはこのスタイルがやっぱり(合ってる)。
二ツ島:こっち(安田1)はやっぱり難しいんですよ。対々路線は、ドラ3ぐらいじゃないと高い点にならない。ドラみたいなすごい良い単語を使っていかないと。
藤田:対照的なのかもしれない。
二ツ島:こっち(二ツ島)は結構軟派ですもんね。こっち(安田1)の完成度が本当に高くなったとき、こんなのは消し飛びます。
だからこれ(二ツ島)は結構、点数稼ぎやすい、8割得点する感じのやつみたいな。
研究成果④
「説明し過ぎない」という美点。
レイアウトデザイン、ビジュアルとしてのあいうえお作文。
内容と形式、デザインの相性。
シンプルさ、エレガンスで高得点を出す難しさと、キマッたときの強さ。
藤田:あっ、なんすいさんのやつが。
なんすい:チャットで送ってます。
なんすい1本目
二ツ島:なんか...被ってません?(笑)
なんすい:被ってるな~と思って聞いてました(笑)。一応言えば、二ツ島くんよりミニマル寄りかもしれませんね。
藤田:なんか俳句みを感じましたけどね。
二ツ島:うん。こういうことですよね、こっち(二ツ島)が吹き飛ぶっていうのは。
安田:文の短さがすごい良いなって思いました。
藤田:「アリアナ・グランデ」という一本の槍で、こう、バスっと。
安田:しかも、「こりゃ」っていう「りゃ」の使い方もあれですよね。
なんすい:こういう系のスタイルで、「ふ」「りゃ」「あ」の頭文字で力みを「りゃ」に感じてしまうと良くないかなと思って。
二ツ島:いや、間違いないです。「こりゃ」いいですね。2文字で完結させれば、1文字に見えるでしょって。
藤田:読み上げるとき、「りゃ」と宣言しておいて「こ」から読み始めることに、個人的にちょっと違和感があっちゃいます。
二ツ島:まあ「こりゃ」ぐらいなら。
安田:確かに、自分もこれはグレーゾーンですね。
研究成果⑤
弛緩と緊張の按配。
キーワード、キーフレーズ。キラーフレーズ。
ここで開始から約40分が経過したのでzoomミーティングを開き直したのですが、この開き直した後半のミーティングでは終わり際にレコーディングを終了する前にミーティングを終了するザコムーブをしでかしてしまったため、記録に失敗してしまいました。悔やみきれません。
その失われた動画には、アリアナ・グランデの作文の感想・評価の続き、および藤田の2本目の作文とそのリアクション、そして事前に予告していたもう1つのテーマ「めいだいさい」の作文2本が収められていたのですが、それらについて交わされた会話に関してはもはや再現不能であるので割愛せざるを得ません。
「めいだいさい」でのあいうえお作文については、そもそも不完全燃焼で終わっていたこともあって第2回へ持ち越しとなりました。短い人生の短い青年期のうちで、こんな何時間もあいうえお作文に取り組む時間を設けていいのでしょうか。それは、近日中に記事になる #2 の中で漠然と示されるでしょう。
それと藤田2本目の作文ですが、折角作ったので以下に載せるだけ載せます。
藤田2本目