大学生の自由帳

ペンギンパニックとエノキ工場の香り

ドクター・ペッパーを自作する【前編】 ~レシピ考察&研究の道のり~

突然ですが、ドクペって知ってますか?
コーラによく似た見た目なのに、味は杏仁豆腐ともイソジンとも科学準備室ともつかない。
飲む人を選ぶうえ、嫌いな人は人生で2度飲むことはなく、好きな人は定期的に禁断症状が出て百ローかドンキを棍棒持って襲いだすというアレです。

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ドクペ

「20種類以上のフルーツフレーバー!」という売り文句に、いや多ければいいってもんじゃなくね?とツッコミを入れたくなりますね。
ドリンクバー全部混ぜて理科室のフラスコで飲んだあの夏の日、みたいな混沌と郷愁と科学の味がそこにはあります。

そんな言わずと知れた(?)ドクター・ペッパーことドクペですが、僕は大好きです
小学生の頃に1度飲んでマッズ!と吐き出し、その後中学でリベンジしてなぜかドハマりしました。
タバコとか酒みたいなハマり方するんですよね、ドクペ。(あるある)
全国にも意外とドクペ愛好家は多く少なくともルートビアよりは、ね、一部の界隈では
選ばれしものの知的飲料
などと意味不明なことを言いながら日夜ドクペを取引する、怪しい厨二病たちの姿が見られるとかなんとか…………

 

さて、ドクペがこんな「マイナー飲料の中では一番メジャー」みたいなビミョーな立ち位置になっているのには、ちゃんとワケがあります。
このドクペ、有名なアニメ「STEINS; GATE」通称シュタゲの主人公たちが愛飲しているのです。

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多くの厨二病を世に送り出した

そのおかげで一時期は日本でも流行り、数多くの影響されオタクたちがドクペを買って高笑いしながら飲むという奇行に走りました。
まさにCool Japanエヴァのせいで獺祭が売れまくったのを彷彿とさせます。
そういうワケで、現在日本でドクペを飲んでいる人の9割はシュタゲファン、残り1割は在日アメリカ人です(そんなことはない)。

 

さて、そんな僕もこの前、シュタインズゲートとその続編、シュタインズ・ゲート・ゼロを初めて観ました。
そしてこうなりました。

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そうです私が《影響されオタク》です…………(暗黒微笑)
シュタゲが面白すぎて発狂し栄で全裸コサックを踊り社会から追放された過去を変えるため1秒ごとに世界線を越えてやってきた私(早口)は、ありあまる情熱を発散するために

ドクペを自作する」(オペレーション・ユグドラシル)

という一大プロジェクトを発動したのでした。

 

いやシュタゲ関係なくね???

 

【もくじ】

 

ドクペの成り立ち

最近、自家製コーラとか自家製ジンジャーエールとかが流行ってますよね。

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インスタバエがたかりそうな画像

僕もちょうど最近コーラづくりにハマっていて、その知見を活かせば自家製ドクペいけるんじゃね?と思ったのです。
ところが、そもそもドクペってどうやって作られるドリンクなんでしょうか。

ウィキペディ様によると、

1885年に、モリソンは薬剤師として後のドクターペッパーの発明者で、イギリスで炭酸飲料を勉強したチャールズ・アルダートン英語版を雇った[2]。モリソンとアルダートンは、「ウェーコ」と呼ばれて人気になる独特なフレーバーを持つ炭酸飲料を提供した[2][3]。公式な名称が必要になった時、当時は商品の健康さをアピールするのに商品の頭に接頭辞Dr.を付ける風潮で、炭酸飲料は健康的であると考えられていたので、モリソンはかつての雇い主のペッパーから名前を引用した[4]

ドクターペッパーの味は、ソーダ・ファウンテンにあった数種類の味を混ぜて作られたということになっているが、23種類とされている原料はいまだに非公開であるため確認できない。 

 ということです。
要するに、何かよくわかんねーけど薬とソーダ混ぜたら美味かったみたいな感じでしょう。
コーラやルートビアなどと同じく、当初は薬として考えられていたようですね。
であれば、作り方はコーラに倣って
「スパイスとフルーツを煮出して炭酸水で割る」
というシンプルな感じで良さそうです。

 

材料の選定、そして(経済的)苦しみ

自家製ドクペの作成にあたり、一番の鬼門となるのが

「材料は何にするか」

という点です。
何しろ、本家の23種類もあるフレーバーは公開されておらず闇の中。
コーラやジンジャーエールみたいに「とりあえず基本のレシピはこれ」みたいのも一切ないので、言葉通り1から自分で作っていく必要があります。
……とか言いながら、実はネット上で優秀なメリケン兄貴たちが侃々諤々の議論を交わし、23種類の材料について研究してくれてました。
今回は以下の2つのサイトを参考にします。

2つのレシピを比較すると、以下のような材料候補が洗い出せました。

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2つのレシピで共通している材料だけを洗い出し、さらに検討してみます。

まず、アーモンド、アプリコットアマレット、サクランボ、スモモに注目。
これらの素材はすべてバラ科サクラ属のフルーツ由来で、ベンズアルデヒドという香気成分を含みます。
この香りは杏仁豆腐そのもの。
ドクペの香りには欠かせない要素ですね!
というわけで、バラ科サクラ属の植物素材は重要な立ち位置にあることがわかります。
とはいえ全部のフルーツを集めるのは大変すぎるので、全部ひっくるめてアーモンドエッセンスで代用しましょう。

次に、アニス、リコリスに着目。
アニスは日本では手に入りづらく、ほぼ同じ香りを持つ八角フェンネルシードの方が安価なので代用。
リコリスも手に入りにくい上に高価で、アニスと似た香りということなので、今回は割愛しましょう。

さらに、オールスパイスも材料として挙がっています。
オールスパイスは、シナモン・ナツメグクローブの香りを併せ持つと言われるので、普通にこの3つを入れることで代用します。
なお、シナモンは一般的なセイロンシナモンではなくカシアを使用してみましょう(香りの方向性的に)。

そして、「カバノキ」
これはたぶんシラカバの樹皮のことを言ってるんだと思うのですが、ネット中のどこを探してもそんなもん売ってません
そもそもドクペにシラカバを感じたこともないので、そんなに重要じゃない材料と判断して割愛。

最後に、大ボスであるところのサルサパリラを見てみましょう。
これはサルトリイバラ科の木の根で、ルートビアや台湾コーラ「黒松沙士」の香りのもとになっているらしいです。
いわゆる湿布臭ってヤツですね。

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黒松沙士

ところがコイツ、そういう情報は出てくるクセに販売してるサイトが一切出てこない…………
と同時に、ドクペの中でも重要な香りのもとなので省くことはできません
何かで代用する方向性でいきましょう。
まず、先ほど言ったようにこいつはサルトリイバラ科です。
調べてみると、サルトリイバラ科の植物の根を乾燥させたものが漢方薬にあるではありませんか。
漢方名は、山帰来(サンキライ)土茯苓(ドブクリョウ)、もしくは菝葜(バッカツ)
1つに統一してほしいですね???(切実)
とにかく、漢方であれば日本でも手に入りやすいので、こいつらを探すことにしました。
しかし…………やはり売ってない
売ってても少量でめちゃ高かったりします。
これは詰みか??????? と思った矢先、知り合いに紹介してもらった漢方薬専門店やっと手に入れました!!!!!!!
しかしそれでも100gあたり900円という高級品っぷり。
これ報われるんだろうな…………????

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まとめ

 

分量の仮定、そしてver1.0へ……

こうして無事に材料は決定し、僕の財布はフェイタルダメージを受けました。(無事ではない)

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OTAKUの末路

材料が決まれば、あとは分量を決めればレシピは完成間近。
とはいえ全くの手探りでは心もとないので、ここでも既存のレシピを参考にしましょう。

ネットを探すと、ドクペを自作してみたみたいな記事は一応出てきます。
が、そのほとんどが
コカ・コーラにバニラエッセンス入れたらドクペできたンゴwwwwww」
みたいなオメー味覚大丈夫か?????というテキトーレシピで参考になりません。
僕みたいにきちんとスパイスを選定して配合するレシピは1つもなく、強いて見つかったのはこの英語サイトのレシピだけでした。
まあ、これもだいぶ端折った謎レシピな気がするけども……。

↓の3つ目のレシピ「Old Fashioned Dr Pepper」

これだけではどうしようもないので、クラフトコーラの作り方も参考にしましょう。
以下の2つのサイトから、コーラのレシピも3つ引っ張り出してきます。

そして、これらのレシピから分量の情報を抜き出してまとめ、単位をmLもしくはgに統一します(少々とか数滴とかも無理やり換算)。
その上で、炭酸水の分量を1000としたときの相対的な分量を割り出した表がこちら。

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おお~~~それっぽい!!!

オペレーション・ユグドラシルも最終段階に突入したって感じですね(ニチャァ)

こうして導き出された数値を参考にしつつ、自家製ドクペの配合も決めていきます。
正直ここから先はだいぶフィーリングの世界ですが、我が魔眼を持ってすれば真理を見通すなど造作もないこと。(真顔)
僕の魔眼が導き出した配合がこちらです。

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ver.1.0 プロトタイプ

なんかいい感じになってきましたね!!! [要出典]
ちなみに、黄色の部分は完全にフィーリングで決めたので後から修正が予想される箇所です。
次回の記事では、この分量をもとにして作られた試作レシピver.1.0を実行に移し、オペレーション・ユグドラシルを完遂して白衣姿で高笑いしようと思います。(?????)

 

【後編】