大学生の自由帳

ペンギンパニックとエノキ工場の香り

名大理容部に潜入した

 こんにちは、ナマコです。

 皆さんは、名大の学生会館に理髪店があるのをご存じだろうか。

これ

 

 それがこの「名大理容部」である。
 ちなみに、この理髪店については、初代ミスター名大である江坂さんと言う方が記事を書いていたのでそちらも参照してほしい。つまり私の記事は二番煎じなわけだが、江坂さんの記事の存在は理髪店に行ったあとに調べて気づいたので、許して欲しい。

 私は学生会館に来た時からこれの存在がまあまあ気になっていた。なぜ大学内に理髪店があるのか。大学という学び舎の中で妖しく光るその明かりは、あまりにも場に似つかわしく異質である。なので潜入してみることにした。

 中は割とレトロな感じだった。待合室のソファがあり、仕切りの奥に二台ほど髪切り台がある感じで、値段が書かれた紙が貼られていた。洗髪が500円ほどだった。(と思う)

扉の張り紙

 入ったら、客が髪を切るために座る椅子で寝ているおじいさんが目に入った。
 他に人がいなかったので、何やってるんだろうこのおじいさんという気持ちが95%、いや多分この人が店主なんだろうという気持ちが5%だった。中々インパクトのあるご登場である。
 こんにちは、と言ったら、身体を起こして菓子を食いながらこちらを振り返った。そして、髪を切ってもらいたいという旨を伝えたところ、「女の人は切ったことないから切れない」という返事が返ってきた。

 前代未聞である。本当によく分からなかったのでなんでか聞いたら、女の人は髪が長いから切るのに時間がかかって嫌だからという理由だった。かなり驚いた。あまりに単純な理由に。まさか、そのような理容師がいるとは。なんか仙人みたいだ。
 どうやら散髪は厳しいが洗髪はいけるとのことなので、洗髪をしてもらうことにした。

 どうして名大内に理髪店を作ったのか気になっていたので、それを髪を洗ってもらいながら聞こうと思っていたのだが、椅子が倒れると同時にまあまあ分厚いタオルを掛けられ、息ができなくなってしまったので話を聞くどころではなくなってしまった。話を聞くどころではないというか普通に生命の危機を感じたので、一旦薄いタオルに変えてもらい話を聞くことに成功した。

 ここからはインタビュー形式でお送りしたいと思う。

Q.いつから大学で理髪店をやってるんですか?

A. 54年前から文系食堂の裏のプレハブで理髪店を開いており、28年前から学生会館の方に移動してきたらしい。文系食堂というネーミングの雑さが気になるところだ。深夜食堂と同等の雑さ、そして素朴さがある。

Q.なんで大学内に理髪店があるんですか?

A.昔は各大学や役所に理髪店があったのは普通だったらしい。田中角栄日本改造計画を行った際に、八割働いたら済むようにしたらいいんじゃないかという素晴らしい計画を行ったらしく、大量に国家公務員を雇った時代があり、一日に八割分の仕事をするだけで良かったらしい。だから、勤務時間中に理髪店に行っても良かったそうだ。なんていい時代なんだ。

 田中角栄の流れから、男女差別の話になり、色々言われて非常に不愉快な思いをした所で洗髪が終わった。言われたことの詳細は省くが、私は良くも悪くも繊細な人間なので、結構ダメージを食らった。恐らくこの人はこの名大理容部が主たる生息域であり、あまり下界と交わらないためにそこら辺の価値観がアップデートされていないのかもしれない、と何となく思った。

  理髪店を訪れたのが8月くらいだったので洗髪についてはよく覚えていないのだが、昔ながらのやり方という感じがした。昔ながらの床屋って、あんな感じなのかもしれない。かなり色々ワシャワシャやられた記憶がある。まあそれはともかくとして、理髪店の歴史についての話は中々興味深くて面白かった。このじいさんは昔の名大のことに詳しそうなので、機会があれば色々聞いてみたい。


 ちなみに、帰ってからなんとなくおでこが痛むので鏡で確認したところ、おでこの右上辺りをカミソリで切られていた。恐らく顔の毛を剃ってもらったときに誤って切られたのだろう。痛かった。もう行かない。