大学生の自由帳

ペンギンパニックとエノキ工場の香り

名大祭なんて誰も要らない

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

僕たち大学生の自由研究は、名古屋大学で活動しているしがない大学生たちの集まりです。

そんな僕たちがある日気づいてしまったことを、今日は書きたいと思います。

その内容とはズバリ、

名大祭なんて要らないのではないか

ということです。

 

 

「オンライン細道」の成功

未だにコロナウイルスが猛威を振るっている今、あらゆることがオンラインで行われていますね。

テレワーク、オンライン飲み会にZOOMデート、学校の授業までもがネット上で行われる日々。

ちょうど春先の季節と重なったので、新入生たちは大変苦しい思いをしていると思います。

 

そんな中、我らが名古屋大学では新入生のためにオンライン細道なる企画が有志の学生によって開かれました。
nuho.sakura.ne.jp

本来は豊田講堂にて行われるサークル説明会、通称「地獄の細道」が中止となったことを受けて、ネット上でそれをやってのけてしまったのです。

しかも名大の学生が主体的に、無償で。

オンライン細道爆誕のニュースはSNSを駆け巡り、短い期間に多くのサークルが参加を表明しました。

これは素晴らしいことではありませんか。

オンライン細道を主催した学生のおかげで、名大の部活動やサークルといった文化が、もしかすると守られたかも知れないのです。

 

企画された「オンライン名大祭」

それから時は少し流れ、衝撃的な知らせが学生たちの間に流れます。

1年で最大のイベントである文化祭、通称名大祭が中止になったのです。

meidaisai.com

名大祭は、多くのサークルや研究室、学部、学生、果ては他大学の団体までもが参加して、大変大規模に開催されるお祭りです。

僕は正直インドア派なので、名大祭はせいぜい連休だとしか思っていないタイプ(だから友達いねーんだよ)ですが、それでもやはり内心はワクワクして浮き足立ってしまいます。

普段は教室として使っている部屋、ただ隣の席で授業を受けているだけの奴ら、存在しか知らないサークルや研究室、そういったものどもが輝いている瞬間を見られる非日常的な日。

それが名大祭です。

新入生が「大学」というもののスケールの大きさを知り、高校生たちがそれを憧れのまなざしで見つめ、在校生は晴れ晴れとした背中を後輩たちに見せる、それが名大祭。

自分で書いててクサくなってきますが、大学の文化祭ってそういう夢が詰まってるじゃないですか。

だからこそ、陰キャでインドア派でひねくれてて、それこそ「大学生の自由研究」なんていう変なサークルに入ってるような僕でも、けっきょく名大祭のことは嫌いになれないのです。

 

そんなお祭りが中止になった。

いつに延期になるかもはっきりしない。

この状況を見て、我々「大学生の自由研究」はおのずと決心を固めました。

 

オンライン名大祭を作ろう。

 

誰もが内心では予期し、望み、必要とするであろうイベント。

多くのサークルや団体にとって最大の見せ場。

需要は必ずあるはず。

であるならば、名大でそこそこ長い活動史を持ち「名大祭EXステージ」を成功させた経験もある我々がオンライン名大祭を開きたい。

しかも、他の誰よりも早く*1

そういう経緯で、我々はオンライン名大祭の開催を告知しました。

急ぎでの告知になったので、多少粗削りではありましたが、「オンライン名大祭」というニュース自体が名大生たちにとって大きなものであるという確信がありました。

SNS上で順調に拡散されていくだろう、そう思っていました。

 

そして失敗

ところが、告知から1か月以上経つ現時点、

申し込みも問い合わせも何も届いていません。

それどころか、名大祭のキャラをまとめたネタ記事の方が伸びているという始末。

何故。

 

理由を考えてみると、

  • 申し込みまでのハードルが高すぎたから?
  • 何をするのか分かりにくかったから?
  • 映像作品のみの受け付けだったから?

理由はいくつも考えつきました。

しかし、そんなオンライン会合のさなか、ふと1つの考えが浮かびます。

 

  • 実は誰も「オンライン名大祭」なんて必要としていなかった

 

「名大祭」は「会社の飲み会」だ

刹那、僕の中で過去の光景が一気にフラッシュバックしてきました。

昔半年だけ入っていた吹奏楽部で、名大祭に向けて夜までつらい練習をしていたこと。

学生会館のホールで、何人かの学生が名大祭用の冊子を何時間も綴じていたこと。

名大祭前日、学部の出し物を準備しに行ったら2年生が僕しか来なくて、先輩が苦笑いしていたこと。

名大祭当日、実行委員の連中が控室で暇そうにスマホをいじっていたこと。

1年生で実行委員になった時、3000円もする赤法被を買わされたこと。

そもそも半ば無理やり実行委員が決められていたこと。

 

よく考えたら、彼らは楽しんでそれをやっていたのだろうか。

内心誰も楽しくはなかったのではないか。

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会社の飲み会

 

これが僕のたどり着いた結論です。

今の名大祭は、多くの名大生にとって

「会社の飲み会」

にすぎません。

サークルに入っているから、

先輩に頼まれるから、

友達もやっているから、

部の伝統だから、

やらなきゃいけないから、

やる。

やらなくていいなら、無いなら、それはそれでまあいいかな。

別にわたしがやりたいわけじゃないし。

誰もがそう思った結果、この現状が必然の裡に導き出されたのではないでしょうか。

 

群れの副産物としての“文化”

企画を決め、人員を集め、シチ面倒くさい書類を提出し、多額のお金と時間まで捻出して、これまでみんな名大祭のステージに立ってきました。

ほとんど全てのサークルや学部が、ほとんど全ての学生とたくさんの一般の方々、先生方まで巻き込み、連綿と名大祭は続いてきました。

それが、少しオンラインに形態を変えただけで、

動画作品に絞っただけで、

内容が分かりにくかっただけで、

有志による開催に変わっただけで、こうなってしまいました。

そうでなくとも、そもそも大変な手間や面倒がかかる行事なのに。

僕はこれまで、そんな面倒をかけてでもやりたいことがあるから、みんな実行委員になったり、ステージに立ったり、出し物を準備するんだと思っていました。

でも、どうやら違うようです。

今なら分かります。

オンライン細道」の盛況と、「オンライン名大祭」の失敗。

要するにみんな、

居場所は大事だけど活動はどうでもいい

ということです。

だから、サークル選びは大事だけど文化祭はめんどくさい。

どんな人がいるかは大事だけど、何をするかはどうでもいい。

誰がやるかは大事だけど、どうしてやるかは気にしない。

こういうことになった結果、オンライン名大祭には参加申し込みどころかコンタクトを取ってくる人すら一切いませんでした。

ここでのカギは、「惰性」「“文化”」です。

「惰性」は、今の名大祭が持っている唯一の動機。

「“文化”」は、その結果生み出されたモンスターです。

“”付きの文化に価値などありませんので。

 

だから、名大祭なんてやめよう

そうであるならば、名大祭はもはや砂上の楼閣です。

オンラインにしてまでわざわざやろうと思えないなら、名大祭なんてもうやめてしまいましょう。

僕たちがやるべきことは、もっと他にあるはずです。

僕たちがいるべき場所も、聞くべき声も、もっと他にあるはず。

最後にもう一回だけ聞きますが、君は何を祭りたいんですか?

我々が何を祭りたいかは、もう決まりました。

*1:オンライン細道は、ほぼ同時期に多くの有志が現れたため、同じような内容の企画が乱立した。中には、高額の参加費を要求するような胡散臭いものもあった。