こんにちは。榊原です。
なっちゃった、博士後期課程に。
私としてはフツーに大学生活を過ごしていたつもりだったのですが、世の中の流れは私のそれよりはるかに速かったようで、なんかみんな就活して、なんかみんな社会人になっていきました。さようなら。
とまあそんな感じでヌルっと始まった大学生活7年目。いよいよ私や同期も老けてきました顔や行動が大人びてきました。さすがに大人びてきていることにさせてほしい。大人びてくるとわからなくなるのは、果たして大学生とはどういった生き物だったかということ。私も6年前は確かにぴちぴちの大学生だったはずなのですが......。
そんな私にふつふつと湧き上がる情念。大学生が見たい。そして遮二無二齧り付きたい(したくない)。周りにいないこともないのですが、私の周りにいる大学生(大学生の自由研究のメンバー)は外れ値みたいなやつらしかいないので、あまり参考になりません。もっと無味無臭の大学生が見たいなあ~。
餌で釣る
ということで餌で釣ることにしました。というのは半分冗談で(半分本気ですが)、サルミアッキを皆にふるまいます。
食べてみたかったんですよね。世界で一番まずいらしいので。
丁度研究室の同期がサルミアッキの本場・スウェーデンに出張に行っていたので買ってきてもらいました。
でも世界で一番まずいものをたくさん食べたくないし、分け与える友人ももう卒業してしまったので、私にはもう無辜の大学生にふるまうしか選択肢がないんですよ。おめ~ら俺のために死ね!
実践
ということで全学教育棟の前にやってきました。
春の16時くらいに、ここにいれば新入生を捕まえられるらしいです。
つかまりました
16:15に授業が終わるため16:00くらいから学生が現れるだろうという見込みは当たり、エントランスから大量の学生がわらわらと出てきました。もう何も思い出せないくらい懐かしい光景です。
遠巻きに私を眺める学生が数名いたので、「サルミアッキいかがですか?」と声を掛けました。すると、新入生がやってくるではありませんか。鴨共がよ。知らないおじさんが飴をくれると言っても皆さんはホイホイついて行ってはいけません。
「何のサークルですか?」と聞かれたので素直に「大学生の自由研究です」と答えると、知っている人がおり、「有名なサークルです」と紹介してくれました。有名なサークルの、大学生の自由研究です。
ということでみんなで仲良く食べました。一口めは「世界で一番というほどでもないのでは?」と思いましたが、噛めば噛むほど口の中が最悪になっていきました。世界一の称号は伊達じゃないです。サルミアッキの味はタイヤのゴムと形容されがちですが、タイヤのゴムですらないとおもいます。というのもサルミアッキの不味さの正体・塩化アンモニウムの塩味が強すぎる。マズしょっぱい。なんというか、食べ終わっても、水を飲んでも、時間がたっても、まだ口の中にいます。なんなら腹の中にもいるし、胃が「これは食品ではないが毒でもなさそうなので困っています」と言っている。
さらに言うと謎の酩酊感があり、何か悪い薬でもやってるんじゃないかという背徳的な気分にさせられます。ごく一部の人間には気に入られていたので、何か人を引き込む魔力みたいなものがあるのかもしれません。
あと北欧の人が来て、一言「懐かしい」と言って食べて去っていきました。貴方が一番だよ。
同時開催・概念ダイオウイカ試食会
サルミアッキの不味さの原因・塩化アンモニウムは深海生物に広く含まれる成分で、深海生物が不味い原因でもあります。深海生物の王・ダイオウイカにも塩化アンモニウムが含まれており、その刺身は大変不味いことが知られています。つまり、サルミアッキとイカを同時に食べることで、ダイオウイカを再現することが可能なのです。本当か?検証してみましょう。
勧められるがままにイカに醬油をつけ、サルミアッキとともに食べる参加者たち。私は食べてません。なぜならサルミアッキが想像以上に不味くて吐きそうだったから。話を聞いた感じだと、普通にイカが美味いせいでサルミアッキの不味さが薄まったそうです。よかったですね。いいですかみなさん、つまりダイオウイカはサルミアッキよりは食用に適する食品だということです。浜に打ち上げられたダイオウイカを見つけたときは、迷わず刺身にして食べましょう。
終了
不味さが不味さを呼び、最終的に20人くらいの人たちが犠牲になりました。来てくれた新入生たちはなんかもうすでにコミュニティを形成し、楽しそうに学友と話しており、素直にいいなあと思って見てました。てめえらもじきに私みたいになるよ。
新入生じゃないけど来てくれた院生の人たちもみんなありがとうございます。また機会があれば来てください。
新入生のみんなには、またすぐに機会があるね!!!!
口直し
流石に不味すぎたので、この世で一番美味いものを飲食しに行きました。本山にあるベルギー料理専門店・レンベークです。
この店はベルギービール、ベルギー料理、それ以外すべてに至るまでびっくりするぐらいおいしいのですが、サルミアッキからの落差がすさまじく、いつも以上においしく感じられました。サルミアッキは空腹に次ぐ第二のスパイスといったところでしょうか? おすすめはしませんが。