突然ですが皆さん、メロンソーダは好きですか?
綺麗な透き通った緑色に、シュワッと涼やかな炭酸が爽快で美味しいですよね。
しかし、メロンソーダって全くメロンの味しなくないですか?
そもそも、一般的なメロンソーダに果汁は入っておらず、あの味とヴィジュアルは大量の果糖ぶどう糖液糖と香料、着色料といった添加物によって生み出されています。
子供の頃からそんなものを飲み続けていたら、そりゃマイルドドラッグ中毒にもなりますよね。
「ママ〜、メロンソーダにメロンって入ってるの?」
「全く入っていないわ」
こんなやり取りがあった日には、夢に満ち溢れていた少年の目も曇り、世界の何を信じれば良いのか分からなくなってしまうことでしょう。
子供の健康と夢を守る為にも、この景品表示法違反スレスレの”メロンソーダ”を何とかしないといけません。
スーパータツミ
話は変わって、僕の家の近くには「スーパータツミ」という個人経営のスーパーがあります。
狭い店内に所狭しと商品が並び、歩道にせり出した青物売場には平日昼間から異常にたくさんの人が群がっています。
このスーパーがなぜ人気かというと、もう商品がとにかく安いからです。
野菜や果物なんかの値段は基本的に相場の半額以下、肉や加工食品も特価がついたものは余裕で半額以下になります。
もともと魚屋だったらしく、魚や貝類も1匹丸々でかなり安く売られています。
菓子類も物によっては安く、タイミングさえ良ければ定価200円が30円とかいうことも稀にあるので、自分も血糖値を上げたくなった時にはタツミに赴いて菓子を買い込みます。
余談ですが、受験生時代は毎日のようにタツミに来て糖分を補給していました。
何を思ったのか「SUPER TATSUMI」という曲まで自作するほど、僕はタツミキチガイなのです。
しかし、ここまでの話はまだ序の口。
タツミにはもっと安い商品があるのです。
まあ早い話無料コーナーがあるのです。
運がいい日には、腐ったバナナや枯れた水菜、黒いニンジン、しなびたセロリなどを無料で手に入れることができます。
真面目な話、稀に食えるものも置いてあるので侮れません。
ある日、いつものようにタツミの無料コーナーに行くと、アンデスメロンのダンボールが置いてありました。
何が入っているのかと覗いてみると、なんと本当にアンデスメロンが入っています。
「ラッキー!」
そう思いながら最後に1個だけ残ったメロンを手に取り、僕は異変に気づきます。
めっちゃ柔らかい。
確かにこれは無料ですね。
まあ食えれば問題ありません。
シュワシュワするメロン
皮が破れないように持ち帰り、冷蔵庫で冷やして食べてみます。
どう切ったらいいか悩んだ末、中身がこぼれぬようココナッツジューススタイルに。
ストローと迷ったものの、固形分もまだ多いのでスプーンを手にいざ実食。
……なるほど、普通に美味い。
なんかめっちゃシュワシュワするけど。
味は非常に甘い完熟メロンなのに、そこに謎の微炭酸がはっきりと感じられます。
僕は刹那に悟ってしまいました。
「……メロン……ソーダ…???」
原理
こうして最も自然な形のリアルメロンソーダと邂逅を果たした僕ですが、いったいなぜこのような現象が?
謎を解くカギは発酵にあります。
そもそも、ほとんどの果物の中には天然の酵素が入っていて、植物体の代謝活動に何らかの形で関与しています。
通常、果物は収穫されてからもしばらく生きている(代謝を行っている)ので、酵素によるはたらきは表からは見えません。
が、今回僕が食べたタツミの無料メロンに関しては、収穫からの時間経過が大きく既にメロンは死んでいたものと考えられます。
酵素は、メロンの中の糖分を分解して二酸化炭素とアルコールを産生しますが、結果として発生した二酸化炭素がメロンの死体の中に蓄積され、あのシュワシュワ感を生み出したのではないか?
まったく同じ現象がイチゴ大福のイチゴにも見られますよね。
イチゴ大福食べたらシュワシュワしたこと、ありませんか?
まとめ
というわけで、リアルメロンソーダは発酵したメロンの中にありました。
自作したい方は、新鮮なメロンの果汁を密閉容器に常温保存することでも作れると思います(自己責任)。
なお、上にも書いたように副産物としてアルコールが発生するので、発酵させすぎると酒になって酒税法に抵触します。
アルコール度数1%を超えないように注意しましょう。
ちなみに味のレヴューを書いておくと、まあ美味しいけどやたら甘ったるいし、フレッシュ感ゼロの熟成した風味があってこしあんを思わせる後味です。
爽快感は皆無。
僕は大人しく人工メロンソーダ飲みます。