先日ミドリガメのカメ吉を食ったトイドラです。
前回はもも肉を唐揚げにして食いましたが、今回は肉ではなく卵巣を食ってみましょう。
カメ吉はメスだったので卵巣がありましたが、カメの卵巣はニワトリの卵巣(キンカン)と全く同じインスタ映えしそうな見た目をしています。
集合体恐怖症の人はもれなく卒倒ですね。
ここから先、グロテスクな画像は載せていないつもりですが、キンカンの画像自体が人によってはキツいかも知れません。
自己責任でご覧ください。
味噌漬け
キンカンは、一応内臓に分類されるものの実際はただの卵黄です。
大量の卵黄が数珠繋ぎになったような作りをしているので、一つ一つ分離して味噌漬けにしてみます。
1週間後、味噌から取り出して軽く洗い、ゆで卵(ゆで卵黄?)にします。
本当なら、卵黄の味噌漬けは火を通さずにホカホカご飯と食べると美味いのですが、カメのキンカンを生食するなんて自殺行為です。
カメに限らず、爬虫類全般にはサルモネラ菌が存在しており、生食すると食中毒になりますので要注意。
念のため少し長めに茹でます。
茹で上がったら、お湯を捨ててザルにあけましょう。
ザルにあけ……
エェ………
どうやら味噌の中で一部の卵黄が破れていたらしいです。
浸透圧の問題だろうか。
しかし全く食欲をそそらない見た目ですね。
めげずに早速食べてみましょう。
前回カメ肉と抜群の相性を見せてくれた紹興酒くんも用意し、準備はバッチリです。
いざ、実食。
なるほど、一言で表すなら茹で過ぎまくったタラコですね。
食感は茹で過ぎたタラコそのもの。
茹でタラコのモサパサ感を2倍にして、粒の大きさを5000倍くらいにしたらこうなるでしょう。
飲み込んだ後も容赦なく口に残ってきます。
味も茹でたタラコそのもので、旨みと程よい生臭さが完全にタラコです。
味噌漬けにしたことで旨みと熟成感はプラスされていますが、黄身そのものにも旨みはあるように思います。
ただ紹興酒が全く合わねえ。
味がタラコなので、日本酒の方が絶対合うでしょう。
ここにきて裏切るのか紹興酒、貴様……。
結論として、カメの卵黄はニワトリのそれとは全くの別物です。
味も香りもニワトリのより濃いし、何より食感がスーパーボールのように硬い。
素材をそのまま食べるものではないような気がしました。
なお、見た目がただのダンゴな分、個人的に肉よりは食べやすかったです。
前のはマジでカメ吉を捕食してる感ヤバかったからな……。
クリームリゾット
過熱したタラコっぽいということは、クリームで煮ればタラコクリームパスタ的な調和があるんでは?
ということで、クリームリゾットに入れてみましょう。
食感が悪いのは分かっているので、かなり細かく刻んで入れます。
米を煮込む段階で卵黄2.5個分くらい入れてみました。
なるほど。
モサモサ感と旨み、味噌によるコクのある香りが、どことなくカラスミっぽくなくもない。
ただ、脂が圧倒的に足りないので、代替品にはなり得ないですね。
リゾット自体は美味しかったですが、卵巣自体の味を評価するには入れた量が少なすぎました。
これは再度作る必要がありそう。
トマトクリームリゾット
数日後、今度は偶然冷蔵庫にあったトマトをぶち込んでトマトクリームリゾットに仕上げてみました。
今回は卵黄を5個分使い、前より荒く刻みます。
また、煮込む段階ではなく炒める段階から投入してみました。
キンカンをかじってみると、保存日数が経ったからか、油で炒めたからか、前よりモサモサ感は減ってパッサパサの冷凍茹でイカのような食感。
カラスミ感はお亡くなりになりました。
前よりも軽減した軽い生臭さがなおさらイカっぽく、海を知らずに死んでいったはずのカメ吉からかくも海産物の味がすることに思いを馳せます。
カメ吉…………。
いやしかしリゾットめっちゃ美味いな。
我ながら事故レベルで美味いリゾットに仕上がったので、正直キンカンの味がどれなのかよく分かりません。
キンカン以外の点で完全に優勝してしまいました。
ただ、塩とトマトとダシ少量にしては強く旨みを感じるので、多分卵巣の味噌漬けからも旨みは出ている気がします。
卵巣が口に入るとちゃんと香りが感じられ、タラコと比べると生臭さと旨みは少なめでコクが強いので、タラコクリームとはまた違うけれども同じ方向性の調和を見せています。
いやー美味かった……。
まだまだキンカンが残っていますので、残りは保存性と油が足りないモサモサ感とを考慮してサラダ油漬けにしておきます。
トマトクリームリゾット再び
個人的にキンカンは焼いた方が食べやすいことが分かったので、今度は玉ねぎと一緒に多めの油で揚げ焼きにしました。
キンカンの食感は、イカと謎肉とイカを足して3で割ったみたいになり、香りはなくなってしまったものの旨みとコクは健在でした。
オイル漬けにしたことによる味の変化は特になく、特筆すべき点はありません。
チャーハン
いっそ焦げる寸前までカリッと焼いたらどうか?
そんなアイデアが浮かび、一旦クリームリゾットから離れて、今度はチャーハンにしてみました。
食感で勝負するため、具にはしめじとレタスを投入。
キンカンは同じく5個、刻むのがめんどくさくなってきたのでもはや結構大胆に混入してます。
食べてみると、キンカンはあまりカリッとはせず、やはりどこかムチッとした粘りを感じさせる硬さがあります。
まあ卵の黄身ってことを考えるとそりゃそうですね。
カリカリの黄身なんて聞いたことありません。
ただ、ここまで焼いてもまだ独特の風味やコクはちゃんと残っていて、なかなか悪くありません。
チャーハンそのものも普通にうまい。
結論
とにかく食感がネックですね。
味は悪くないんですが、この強烈なモサパサ感をどうにかしないとややキツい……。
結局僕の経験から言うと、ミシシッピアカミミガメのキンカンは、塩分にたっぷり漬けて(1ヶ月くらい)から加熱し、オイル漬けにして保存するのが良さそうです。
一日冷蔵保存するとめっちゃモサパサっと固くなってしまうので、使い方としては刻むとか削るとかして具や調味料として使うのがいいかも。
ただ、やはりどこまでいっても粉っぽさは消えません。
食品として洗練されたものではないものの、一貫して独特の良い風味や旨味、強いコクは感じたので、使い方さえ選べば活躍できそうです。
なかなか面白い食材でした。
でしたって言うかまだ15個ほど残ってるんですけどね。
まだしばらくは昼はカメ吉になりそう。